中国と韓国は2日午前、北京市内の中国商務部で会談後、記者会見を開き、FTA交渉を開始すると発表しました。両国は今年1月、首脳会談で早期のFTA交渉開始を合意していました。
FTAとは、物品の関税、その他の制限的な通商規則、サービス貿易等の障壁など、通商上の障壁を取り除く自由貿易地域の結成を目的とした、2国間以上の国際協定です。
今年は中国と韓国の国交樹立20周年です。この20年間、中国と韓国の貿易量は毎年平均23%のスピードで増加しています。現在、中国は韓国にとって最大の貿易パートナーとなり、韓国は中国にとって第3の貿易パートナーとなっています。両国の貿易量は国交樹立時に比べ50倍となったそうです。
両国は交渉原則として、サービス・投資分野で、世界貿易機関(WTO)の協定が定める開放義務を上回る「高いレベル」のFTAを目指し、朝鮮の開城工業団地など域外加工地域もFTAによる特恵関税の対象に含めることで合意しましたが、韓国の農水産物、中国の石油化学製品など両国のセンシティブ品目については、さまざまな保護措置を設けることで一致しました。
朴泰鎬(パク・テホ)通商交渉本部長は会談後の記者会見で「韓中FTAが発効すれば、企業に幅広い事業機会がもたらされる」と指摘。陳商務相は「中韓日3カ国の経済統合の重要な基礎、推進力となるだろう」と期待を込めました。
穎:韓中両国は今月中に第1回交渉を行うことで合意しました。中国の陳徳銘商務相は2日の記者会見で「2年以内に交渉がまとまることを期待している」と述べました。
中国とのFTAが結ばれれば、韓国が諸外国と結んだFTAの対象地域は世界の3分の2へと広がります。関税障壁なしで自由に通商可能な市場の規模(2010年のGDP基準)は、世界経済の57.3%から67.0%へと高まる計算です。その比率はメキシコに次ぐ世界2位となり、米国、欧州連合(EU)、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)という世界の4大経済圏とFTAを結ぶ初の国家となります。
韓国が技術面で比較優位に立つ石油化学分野も恩恵を受ける見通しです。一方、中国に優勢があるのは農業、軽工業分野です。陳徳銘商務相は「交渉は今年5月に初回の交渉を行い、2年以内に交渉が終了することを望んでいる」とした上で、「両国の貿易分野において一部の敏感な分野が存在している。例えば、韓国の農業や中国の石油化学や電子、機械などの分野だ。交渉は双方の利益を尊重して行う必要がある」と指摘しました。
このほか、朝鮮半島の平和と安定に向け、開城工業団地など朝鮮国内にある域外加工地域で生産された製品も韓中FTAの対象に含められることになりました。朝鮮産も韓国産と見なされ、関税免除の恩恵を受けることになります。今回の交渉は、朝鮮経済を支援する道を開くもので、戦略的なアプローチが必要です。
日本はその間、中日韓3カ国でのFTAを推進してきましたが、韓国が世界最大市場に浮上する中国と先にFTA交渉に入ったことに日本は当惑しています。日本経済新聞は「韓国政府が中国と先に交渉することにしたのは、日本政府の遅い対応のため」とし「FTA議論再開のための韓国との実務協議は全く進展がなく、非関税障壁撤廃問題にも日本は明確な答弁を出さなかった」と指摘しました。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、韓中FTAが実現すれば、中国で韓国製品が他国製品に取って代わる金額が173億ドル(約1兆3900億円)に達し、日本製品はうち30%に当たる53億ドル(約4200億円)の被害を受けると試算しました。
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