■「中国のスピードに合わせていこう」
フォーラムでは日本の企業代表者による技術紹介のみならず、両国が協力しながら省エネ、環境に配慮した環境都市を創造していこうとした時、ぶつかった課題をどう乗り越えたら良いのか、両国の代表者が参加するパネルディスカッションも行なわれました。
中国の大きな市場に魅力を感じながら、価格が安いのに許認可手続きが繁雑な時もあるなど様々な課題にもぶつかっています。日本側のパネラーはいま、中国でのビジネス展開において、①スピード感の違い、②知的財産権保護への懸念、③パートナー探しを課題として挙げました。
これに対して、中国側のパネラーである杭州錦江集団の王元珞総経理は、「中国では、環境意識はここ数年、ようやく培われてきた。日本のほうは気長に、じっくりと計画を進めていこうとするのに対して、中国では指導者は4年間という任期中に急いで成果を出し、業績を残したいという制約条件がある」と一定の理解を示す一方、技術の譲渡について、「日本企業は汎用化した技術をどんどん手放して、コアの技術のみをしっかり握り、また常に新しい技術を開発して業界をリードしていく立場にい続けるよう努力してほしい」と話しました。
ただし、中国の大きな市場に魅力を感じながら、低価格の市場にどう入っていけばよいのか、日々模索している会社も多くあるようです。
そんな中、「チャイナ・プライスWithクボタ・クォリティ」をキャッチフレーズにしたのは、水処理大手の「株式会社クボタ」です。同社は1年前、安徽省に地元企業との合弁で製造拠点を作り、中国国内での生産も始めています。
株式会社クボタのスタッフの皆さん
「市場が大きい。中国の値段で日本のクォリティのものを提供する。これに合うような製品開発とサービス提供を心がけているが、容易なことではない。合弁はまだ始まったばかりだが、今のところ、よくやっているのではと思っている」
同社の福井哲常務執行役員の話から、まだ気を緩める状態にはないが、巨大な潜在力がある中国市場で躍進したいという意気込みも伝わります。
パネルディスカッションでは、王総経理から中国でビジネスを展開したい日本企業に対し、「ひたすら待つのではなく、激しく変化している中国に適応するよう努力してほしい。何故ならば、待っている間に、ほかの国の企業に機先を制されてしまう恐れがあるからだ」という提案が多くの参会者の賛同を得たようです。
モデレーターの日本総合研究所執行役員・創発戦略センターの井熊均所長はこれについて、「日本経済が停滞しているので、日本人はなんとなくゆっくりしたスピードが身についてしまったと思う。今、世界で一番速く進んでいる国の感覚に自分が合わせていくという日本側の気持ちも必要だと思う」と相槌を打ちました。
「中国は進歩し続けている。そして、中国は進んだ技術にあこがれており、新しい発展と一層の向上を目指そうと日々頑張っている。この点ぜひ日本の皆さんに信じていただきたい。中日間の協力に必ず明るい未来がある」
中日双方の参加者の共通した気持ちを代弁するように、王総経理がこう締めくくりました。
【参考】関西地区と中国
2府4県からなる関西地区と中国の貿易総額は2011年度では7兆9000億円に上り、両国の貿易総額の約3割を占めています。関西から中国への主な輸出品目は半導体など電子部品、科学光学機器、輸入では衣類、通信機、音響・映像機器などです。
現在、関西空港から中国本土向けの国際線は、中国の21都市に就航しており、旅客便の直行フライトは週227便、貨物便は週295便に上っています。
(王小燕)
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