中国の不動産市場は2010年5月に引き締め政策が発動された後、ずっと取引の低迷が続いています。この5月、全国70の大中都市で行なった調査では、新築商品住宅(一般分譲住宅)の価格が前年に比べ下落した都市が55を数え、全体の78.6%を占めました。こうした中、北京市ではこの春から、不動産物件の取引が少しずつ回復の傾向を見せています。
北京市住宅建設委員会によりますと、今年の端午節3連休(6月22日~24日)の最初の2日間だけでも、仮契約を結んだ不動産物件は1155件に達しました。これは、昨年同期より719件多く、今年の元旦、清明節、メーデーの3連休に比べて、それぞれ570、550、869件多いということです。さらに、この3月から北京の新築と中古物件の取引はいずれも安定して上昇しており、6月23日までにそれぞれ先月同期比13.9%と4.6%の伸びになっています。
北京で不動産取引が明らかに回復した背景として、6月8日の預金金利の引き下げ発表が大きいと見られています。中国人民銀行がこの日、預金基準金利を0.25ポイント引き下げると発表したことに、市場は敏感に反応しました。通貨政策が引き締めから緩和に切り替わっていくとの期待が強まり、また、これまで買い控えをしていた人も、不動産価格はもう底入れしたと判断した人も増えているようです。
ただし、こうした動きに対し市場関係者は、「不動産価格に対する当局の調整の方針は変わっていない。これまで抑えられていた実需が金利の引き下げ、不動産価格の伸びの鈍化により戻ってきたため、取引は今後も引き続き増えていくが、不動産価格が過度に反騰する可能性は小さい」と見ています。
また、北京の不動産取引の増加には、価格の下降が背景にあるとも見られています。北京市住宅建設委員会は、「今年に入ってから、110あまりのプロジェクトを値下げした。現在、購入者の9割以上は1軒目の購入であり、自分たちの居住が目的だ。北京市として、マクロ規制の手綱を緩めたことはなく、不動産価格がリバウンドして高騰することは考えられない」という見方を示しています。関係筋によりますと、北京市では、「商品住宅」(一般分譲住宅)の在庫が6万件近くに達しており、大部分のデベロッパーはなおも在庫を消化する段階にあります。
ちなみに、この端午節の連休中、上海の不動産契約数は714件で、昨年同期の956件よりは低いものの、今年のメーデー連休の453件よりは高くなりました。なお、広州では、連休の最初の2日間だけで452件の仮契約が結ばれ、昨年同期より25%の伸びとなりました。ただし、取引対象は主として郊外の比較的面積の小さい物件だそうです。
一方、これまで2年あまり継続していた不動産市場のコントロール政策の効果について、住宅都市農村建設省政策研究センターの秦虹主任は、「投機的なニーズが市場から押し出され、現在、8割から9割の購買目的は自家用となっている。また、不動産価格の上昇幅も抑制できた」と見ています。
中国の不動産市場の今後について、秦主任は、「今後の中国の不動産市場には依然として大きな空間がある。自家用、あるいは買い替えとの実需は引き続き大きいが、市場の成長スピードは緩やかにになっていくことだろう」との見方を示しています。(Yan)
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