国務院発展研究センターの劉世錦副主任は先月、中国交通銀行が主催したシンポジウムで、2011年の中国のGDPは9%前後の成長率を保つが、中国の経済成長には「労働力コストの上昇」、「流動性の圧力」および「経済成長の継続性」という三つの困難に直面していると指摘しました。新華社通信が伝えました。
劉副主任は、2010年の中国経済の伸び率は前半が高く、後半から鈍くなるというトレンドを呈しており、2010年のGDP伸び率は10%前後に達するものの、2011年の伸び率は前半が低く、後半から高くなり、通年ベースのGDP成長率は9%前後になるだろうと見ています。
中国経済が直面している三つの困難について、劉副主任は以下のように分析しました。
1) 労働力コストの上昇。これまでの30年間、安い人件費とエネルギー価格に支えられ、中国経済は高度成長を成し遂げてきましたが、労働賃金の急速な値上がりにより、中国経済の低コストの優位性が小さくなりつつあります。労働賃金の上昇は内需の拡大および収入構造の均衡化に役立つという点では、プラスの影響があるものの、企業の生産コストの増加は避けられない状況になりました。こうしたことに対し、企業はイノベーションに力を入れ、労働力のコスト上昇をカバーできるほどの新しい競争力を創出することが急務となっています。
2) 流動性のプレッシャー。世界各国の通貨は現在、重要な調整期に入っており、アメリカのドル切り下げ政策により、各国は通貨切り下げ競争に陥っています。人民元は国際貨幣体制において、丁度、切り上げの過程にあるため、これからも数多くの摩擦が起きてくることが予想されます。
これと同時に、中国は金融危機への対応策として、一時期、流動性を促す通貨政策を導入しました。そのため、余った資金が商品市場だけでなく、資本市場にも押し寄せ、土地価格の高騰を招きました。これらの動きにどのように対応していくのか、今後が注目されます。
3) 高度成長の継続性。中国の経済成長は今後3年から5年の間で、ある程度の下降が見られ、中スピードの成長に陥る可能性があります。世界的に見ても、30年も高度成長を続けた国は極めて少なく、そのため、中国経済の高度成長は後、何年続くか考えざるを得ません。最近行われた研究では、韓国、日本、ドイツのいずれの国も一人当たりGDPが1万ドルを超えた時点から経済成長が著しく緩やかになりました。2010年のデータから計算すると、中国の一人当たりGDPが7000ドルに達した時から、経済成長が鈍化していくだろうと見込まれています。
ただし、成長スピードが緩やかになることついて、劉副主任は「必要以上に懸念する必要はない。何故ならば、現在の成長スピードが速すぎるためだ。もう少しスピードを落とせば、逆に効率のアップが期待される」との見方を示しました。中でも、中国東南沿岸部の一人当たりGDPはすでに1万ドルを超えているため、経済成長の鈍化の動きも東南沿岸部から真っ先に現れてくる可能性が大きいと言えます。
中国の企業が低成長になっても、引き続き利益が出る経営ができるかどうかは、中国の成長モデルの転換において最もコアな問題と言えます。これに向けて、今から準備を始めなければなりません。
劉副主任はさらに、インフレや物価問題を一層重視し、イノベーションと教育分野での開放を奨励し、基礎産業サービス業の市場の更なる開放、社会保障制度の整備なども強調しました。(Yan)
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