昨年の末頃から、ある環境データがホットな話題となり、北京市民の注目を集めました。PM2.5のことです。PM2.5は大気中に浮遊する微小粒子状の物質で、直径が2.5マイクロメートル以下のものです。PM10などの大きな粒子よりも細かいPM2.5は気管にまで入りやすく、肺胞など気道よりもっと奥まで入り込むため、人体への影響が大きいと考えられています。ぜんそくや気管支炎を引き起こす要因ともされています。ディーゼル車の排ガスや工場のばい煙など、人為的な要因によって発生するケースが多いと言われています。では、なぜ、北京でPM2.5はホットな話題になったのか、「チャイナライフ」、今回はこの話題に迫ります。
2011年の末、中国環境保護省は新しく修正した『環境大気質の基準』を発表しました。それによりますと、今年1月から、PM2.5は初めて大気質の国家基準に含められました。新しい年の始まり、北京、天津、河北省、上海をはじめとする長江デルタ地区、広州や深センを中心とする珠江デルタ地区の環境保護部門はPM2.5のモニタリングの結果発表を議事日程に取り上げ、北京市では、すでに先週木曜日、つまり今月2日から、毎日のPM2.5の平均濃度と時間ごとの濃度変化を北京市環境保護モニタリングセンターのHPでの公開を始めました。
実はPM2.5の話題と言えば、去年11月にまで遡ります。去年11月1日から、北京にあるアメリカ大使館は館内に設置した設備で自ら観測した北京のPM2.5のデータをツィッターで発表し始めました。そのデータによる北京市の大気の質は、北京市環境保護局の発表とある程度の差があるものだったんです。それで、人々の注目を集め、ホットな話題となりました。
話題のピークは昨年12月4日、北京のアメリカ大使館はその日の午後7時に観測したPM2.5の結果を発表しました。すると、1立方メートルの大気にあるPM2.5の濃度はなんと522という数値で、アメリカ環境保護庁(EPA)が大気の汚染状態を調査する時に使う大気質指標(AQI)の測定最高値500を超える結果が出たんですね。これには多くの人々がショックを受けました。アメリカの定めた大気質指標(AQI)のうち、PM2.5の濃度は301―500までの数値に達すると、『危険レベル』とされます。つまり、最も深刻な汚染状態にあるということですから。
一方、この日の北京市環境保護局の発表によりますと、4日午後8時の大気汚染指数は150-170で、大気質は3級で、軽度の汚染とされ、主要汚染物は浮遊微小粒子だったということです。北京市環境保護局の発表したデータのうち、150-170の数値はPM2.5ではなく、PM10の濃度ですね。つまり、直径が10マイクロメートル以下の浮遊微小粒子のことです。
判定の基準が違うと、結果にズレが出てきます。アメリカ側はPM2.5、北京市はPM10で大気の質を計っていますから。これをきっかけに、PM2.5はますます多くの北京市民ないし中国人に知られ、PM2.5のモニタリングの結果を発表するようにと市民の声が高まったんです。その結果、PM2.5はようやく新しく修正された中国の『環境大気質の基準』に盛り込まれました。さらに、いま、北京では、毎日PM2.5の平均濃度や、時間ごとの濃度変化が発表されるようになりました。これはまさに民意に従った結果とも言えます。
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