△月収4千元でほぼ減税
個人所得税法は1994年以来5回の改正が行われています。専門家は、改正後の新所得税法が施行されると、一般の労働者にとっては、給与所得の個人所得税課税最低額が1カ月あたり2千元から3500元に引き上げられることが最大の変化だと強調します。3500元とは、三険一金を引いた手取りをいい、給与が4千元前後の人のほとんどが個人所得税を納めなくてよくなります。
国家税務総局の責任者によると、納税者が2011年9月1日以降(1日を含む)に受領した給与所得については、改正後の個人所得税法の減免基準と税率表に基づいて納税額を算出します。2011年9月1日以前に受領した給与所得については、源泉徴収義務者が2011年9月1日以降に個人所得税を申告し納入するかどうかに関わりなく、改正前の個人所得税法の減免基準と税率表に基づいて納税額を算出します。
△個人所得税減免は物価上昇につながらない
新個人所得税法の施行がもたらす影響について、廈門(アモイ)大学財政系の陳工主任(教授)は次のように話します。「第一に、国にとっては税収が減ることを意味する。財政部税政司の予測によると、このたびの個人所得税課税最低額の調整により、政府の財政収入が年間で1600億元前後減少することになるという。第二に、納税者にとっては、特に中・低所得層にとっては、個人所得税の負担が軽くなることを意味する。今回の改革の受益者の中心は月収が4千元から8千元の人々だ」
また陳主任によると、「個人所得税は毎月給与から直接天引きされ、年末に調整が行われるものであり、減税額は国全体でみれば巨額に上るが、個々人にとっては数十元から1千元ほどに過ぎない。よって個人所得税の減免が人々の消費ニーズに与える影響はそれほど大きくなく、物価上昇をもたらすこともない」ということです。
また、ある業界関係者は次のように指摘します。「個人所得税の調整だけでなく、もう一つの重要な減税措置にも注目するべきだ。すなわち個人商店の生産経営での所得と事業請負での所得についての税率表の調整だ。国家税務総局の責任者によると、個人商店の生産経営での所得に関する税法の規定は、個人商店に適用されるだけでなく、個人独資企業やパートナー企業の生産経営所得にも適用される」
個人所得税には収入を調節する機能がありますが、ある専門家は個人所得税に収入再分配の機能をもたせるわけにはいかない、個人所得税はこれほど大きな任務を引き受けることはできないと話します。今回の個人所得税の調整は、税制度改革の一歩に過ぎず、一足飛びに何もかもがうまくいくことを期待してはならないということです。
△経済成長を促進する作用あり
この度の個人所得税改革に不完全なところがあるかどうかに関係なく、疑問の余地なく言えることは、改革の推進により中・低所得層が実質的な恩恵を受けるということです。たとえば北京市の場合、同市地方税務局のカク碩博副局長(報道官)の説明によると、改正後の個人所得税法が施行されれば、市内の納税者470万人に恩恵が及び、ここには30万の個人商店も含まれるということです。サラリーマン全体に占める個人所得税納税者の割合が現在の57%から28%に下がり、約229万人は今後納税の必要がなくなる一方、一部の高所得層は税負担が増加することになります。
かつて個人所得税の課税最低額引き上げを提起した董正偉弁護士によると、個人所得税の課税最低額を引き上げれば国の財政収入が必ず減少するわけではありません。一般国民の収入が増えれば、増加分が社会消費に転換し、商品取引やサービス取引を通じて新たな税収に転換して、経済社会の発展にプラスになることは確実だと話します。
陳主任は、個人所得税は個人の所得に対して課税するものであり、主な役割は財政収入を集め、所得を調整して再分配し、公平な社会の実現することにあります。生産や流通のプロセスで直接課税するものではなく、経済情勢に対する影響は直接的ではありません。だが個人所得税を減免すれば、個人の可処分所得が増え、消費ニーズが増大して、経済の成長を促進することになると話します。
また陳主任によると、個人所得税の減免にもっぱら頼って内需の著しい伸びを達成しようとするのには無理があります。個人所得税の作用する力は限定的です。個人所得税の減免によって内需の急速な伸びを牽引することはできないということです。(編集KS)
*カク:「おおざと」に「赤」
「人民網日本語版」2011年8月31日
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