四川省青神県の竹細工
中国では、「中国の竹細工は四川省にあり、四川省の竹細工は青神にあり」という言い方があります。ユネスコの専門家はかつて「青神の竹細工は、芸術の中の芸術、貴重な竹の工芸品」と評価しました。
今回は四川省眉山市青神県にある中国竹芸城という観光スポットを訪ねました。最初に見えてきたのは竹の子の形をした中国竹編芸術博物館です。ここには竹で作られた工芸品が数多く収蔵されています。伝統的な家庭用品から高価な工芸品まで、なんでも揃っています。
博物館のスタッフ、蘭学紅さんが次のように紹介してくれました。
「ここは中国の竹細工の故郷とも言えます。清の時代から今日までの竹を編んで作った製品が収蔵されています。第1展示室は、1970年代まで、家庭で使われていた生活用品や生産道具、第2の展示室は、清の時代からの工芸品を紹介しています。竹製品は虫に弱いため展示品には防虫、カビ防止、変色防止など特別な加工法が施されしっかりと守られています」
博物館の4階は、竹で作られた絵画作品の展示があります。「清明上河図」、「開国大典」、「モナリザ」など歴史ある名画を竹で再現したもので、大変貴重な作品20点を見ることができます。これらの作品を制作したのは、この分野でよく知られる職人の陳雲華さんとその弟子さんたちです。陳さんの一番のお気に入りは「簪花仕女図」です。
陳さんの話です。
「これは私が作った作品の中で、最大のものです。全て竹の糸を編んで作りました。非常に細い竹の糸を使うんです。唐時代の絵画『簪花仕女図』を再現しました。長さ3.8メートル、高さが1メートルの大作です。ある人が86万元で買うと言いましたが、売りませんでした。私と3人の弟子で、1年半かけてようやく完成した作品なんです。竹の糸を一本一本丹念に編みあげたものですから手放すことは出来ませんでした」
蘭学紅さんは陳雲華さんの弟子になったことで、人生が変わりました。数年前までは蘭学紅さんは都会に出稼ぎに行き、安定しない生活が続いていました。長年の都会の生活を振りかえると、今でも仕事の辛さや孤独感がよみがえってきます。2007年、蘭さんは故郷に戻り竹細工の技術を習い始めました。
蘭さんの話です。
「35歳から50歳ぐらいの人は両親や子供を抱え出稼ぎに行ってもなかなか暮らしは良くなりません。今はこの村ではこのような年齢層の人の大部分が家で竹製品を作っています。家を出なくてもお金が稼げるんです。才能のある人は、稼いだお金でマイカーも、住宅も手に入れました。すごいことです」
ここ数年、青神県政府は、農民が竹製品の生産に従事することを奨励してきました。今、県の6000人あまりがこの仕事をしています。一人当たりの年間所得は3万元です。皆ゆとりのある生活をしています。
蘭さんによりますと、ここで作られた竹の工芸品は、海南省、浙江省、雲南省、広西チワン族自治区などで人気があり、売れ行きも順調だそうです。外国人にも人気のようです。
竹細工を作るには、絵を描く才能、竹の糸を編む技術と忍耐力が必要です。優秀な職人の一人、胡淑容さんが仕事について話してくれました。
「職人の98%が女性なんです。男性は少ないですね。女性は気遣いが細かいから作業に向いていますし、この仕事は女性にとって非常に衛生的なんです。みんな楽しんで工芸品を作っています」……(任春生)
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