雲南省、墨江県の北回帰線記念公園を訪ねる

　北回帰線は、中国の広東省のスワトウ、叢化、封開県、広西チワン族自治州の桂平市、雲南省の墨江県と台湾のカ義市を貫いています。このうち、墨江県に建設された中国北回帰線記念公園は、世界でも規模が最も大きく、内容が豊富な公園です。また墨江県は唯一のハニ族自治県であるため、この北回帰線記念公園には、ハニ族の文化と民俗風情がたくさん詰まっています。毎年の夏至になると、多くの天文学愛好者が遠いところからやってきて、太陽光の垂直照射という現象を観測します。今日の番組では、天文学、地理学、気象学、生物学などの知識を交えてハニ族の民族文化を備えた墨江県の北回帰線記念公園をご紹介します。

　中世以降、天文学と地理学において、地球は熱帯、温帯、寒帯の３つに分けられており、これらの地域は地理的な標示線で区分されています。雲南省墨江県は北回帰線が通るところで、ここは熱帯と北温帯に分けられています。この地理的な区分について、中国科学院雲南天文台の鮑夢賢研究員は、「北回帰線と南回帰線が通っている地域は、殆どが荒地です。たとえばアフリカのサハラ砂漠などです。しかし北回帰線の東側には、森やオアシスが一部あります。幸いにも北回帰線のオアシスはちょうど中国の雲南省、広西、広東と台湾にあります。雲南省の墨江県は、北回帰線がちょうど通るところで、この現象は世界でも稀です。科学者としてこの記念公園の建設に協力しました。ここは科学知識を普及させる適切な場所だと思います」と紹介してくれました。

　墨江県の中心部から1キロほど離れたこの記念公園は、面積は22.3ヘクタール、北回帰線の位置と重なる500メートルを中軸に、東から西へ、海抜の低い場所から高い場所へ、回帰線の門、太陽の道、石の環、太陽と月が耀く所、天文館などの観光スポットが十数ヵ所あります。

　太陽の道という観光スポットでは、中国古代の陰陽、五行のほか、ハニ族の暦法、十月太陽暦も紹介されています。この暦法の計算方法と季節は、ハニ族の農業生産に直接関わっています。ハニ族は、中国でも最初に米を栽培した民族の一つで、このためハニ族は天候の観察や日にちの計算に特色のある方法を発明しました。

　これについて、現地のガイド馬敏さんは、「ハニ族は、１年を5つのシーズンに分けます。１つのシーズンは2ヵ月で、１ヶ月は36日です。これで１年は360日となり、残りの5日は新年とします。夏に迎える新年を６月年、冬に迎える新年を１０月年と呼んでいます」と話してくれました。

　北回帰線記念公園には、双子広場という面白い観光スポットがあります。ここでは双子のためにいろいろなイベントが行われます。この観光スポットについて、ガイドの馬敏さんは「北回帰線が通る所には、不思議な現象がいっぱいあります。たとえば、墨江県には双子がとても多いんです。大まかな統計では、1000組ほどいます。毎年の5月1日から3日まで、国際双子祭りが開かれます。世界各地の双子がやって来るんですよ」と紹介してくれました。（任春生）