無錫市の古い町、甘露古鎮を尋ねる
江蘇省の無錫市には、有名な古い町、甘露古鎮があります。甘露古鎮は、蘇州、無錫、常州の3つの都市の境にあります。その南にはガチョウ湖という湖があり、一つの河がこの古い町を貫いています。かつて甘露古鎮は水路が多く、水運が発達していたため大変栄えていました。
毎年、陰暦の4月15日は甘露古鎮の甘露廟で祭られている神様の誕生日です。この日は大規模な縁日も行われます。とりわけ最大のイベントは「神様のお出かけ」で、住民たちが神輿を担いでパレードを行います。行列には現地住民ばかりでなく全国各地からやって来た観光客も混じっています。
2004年、甘露古鎮は「江蘇省民俗文化の郷」に指定されました。この古い町の民俗文化活動は、縁日を中心に行ってきました。今年72歳の張澍本さんは、定年する前は中学校の教師でした。これまでにこの町の資料を大量に集めてきました。張澍本さんの調査によって、甘露という地名がすでに3000年の歴史があることがわかりました。昔、ある晩に大雨が降ったのですが、その雨水が甘かったため、現地の人々はこの場所を甘露と呼ぶようになったそうです。
甘露古鎮には、もともと3つのお寺がありました。この町の北側、東にあるのは甘露寺。真ん中にあるのは烈帝廟、陳杲仁という人を祭っています。この人が先ほどご紹介した「神様のお出かけ」パレードの神様です。西にあるのは神隍殿、土の神を祭っています。この陳杲仁について、張さんは次のように紹介してくれました。
「陳杲仁は、隋の時代の政府高官です。彼の政府への忠義、友人への信頼、親孝行といった誠実な人柄は民間にも広く伝わっていたため、彼の死後、その死を惜しんで故郷の常州で祭られることになったのです。そして甘露には彼の別荘があったので、甘露古鎮の人々も廟を作って、陳杲仁を祭りました」
現在残っている甘露寺は1992年に再建されたものですが、一部の地元の人々は、まだ昔の甘露寺の遺跡にお参りします。今年75歳の陳伯禮さんはここで生まれ育ちました。小さい頃は陰暦の1日と15日に、各地からの仏教信者がここに来てお香を焚いて、仏像を拝んだそうです。5月になるとさらに多くの信者がやってきて、甘露寺周辺は大変商売が繁盛しました。
当時の様子について、陳伯禮さんは次のように話してくれました。
「甘露寺の周辺の住民は皆商業に携わっています。昔は縁日になると、四川省や重慶の人、それから杭州の人もきました」
甘露寺周辺の商業といえば、老舗の「薛泰豊」を取り上げなければなりません。この薛という一族は、代々醤油とお酒を作ってきました。中でも「薛泰豊」の醤油は「氷油」と呼ばれ、1915年パナマ万博で金賞を獲得しました。それから100年が経ちましたが、清の末期に建てられた「薛泰豊」の店は現在もあります。
清の末期、民国時代のはじめ頃、甘露古鎮は、揚子江地域の米、油、シルクが集まる場所として、名が知られていました。町には、レストラン、茶館、醤油の店、お香と蝋燭の店がたくさん並びこのうち、「薛泰豊」、「華豊泰」、「朱泰和」などが代々続く老舗でした……(任春生)
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