年画は中国伝統的な絵画の中でも、地域の特徴が最も溢れる民芸品で、その歴史は長く、国内の多くの地域で制作されています。年画には、主に4つの流派があります。四川省の綿竹年画、天津の楊柳青年画、山東省の濰坊年画、蘇州の桃花塢年画です。これら4つの年画が中国4大年画です。
今日は中国年画の流派の一つ、四川省の綿竹年画とその生産地綿竹年画村をご紹介します。
綿竹年画は、綿竹木版年画とも呼ばれ、中国四川省綿竹市で作られていることから、市の名前をとり綿竹年画と命名されました。綿竹年画の歴史は非常に長く、その発端は宋代にまで遡ることができます。清代の乾隆、嘉慶の時代に、綿竹年画は最盛期を迎えました。当時の「綿竹県志」の記録によりますと、清代、綿竹県に、年画制作の工房が300ヵ所あり、制作に関わった職人は1000人ほどいたそうです。年間1200万枚を作っていました。今は、綿竹年画は四川省、湖南省、湖北省、陝西省、甘粛省、青海省、雲南省、貴州省、香港、マカオのほか、インド、日本、ベトナム、ミャンマーなどの外国にも輸出されています。2006年、綿竹木版年画と蘇州桃花塢木版年画は国家レベルの無形文化遺産に指定されました。
綿竹年画村は四川省綿竹市の孝徳鎮にあります。村に入ると、白い壁、黒い瓦、朱色の扉などの建築スタイルを備えた四川省西部の住宅が見えます。家々の壁に、色鮮やかな年画が描かれています。まるで年画のギャラリーに入ったような気がします。壁に描かれた年画の内容は、中国民間に伝わる物語や縁起のいいものをモチーフにしたものがほとんどです。
陳興歳さんは綿竹年画という国家級無形文化遺産の伝承者です。今年94歳の陳興歳さんは16歳から年画作りを習いはじめました。その製作技術は9代にわたり受け継がれてきたものです。孫の陳強さんは小さい頃から、お爺さんに年画作りの技を教わり、12年間修行してきました。今は、年画作りの技をもつ若い画家を代表する1人となっています。
綿竹年画の製作プロセスは、先ず画家がスケッチし、次に技師が木版を刻むという工程ですすみます。その後、紙に印刷して色をつけます。説明は簡単ですが実際の製作のプロセスは非常に複雑です。これについて、陳強は「綿竹年画は木版年画がメインです。それぞれの図案と模様を印刷するため、木版を作る必要があります。紙に絵の輪郭を印刷して、墨が乾いてから色をつけます。普通一つの図案を完成させるまでは、20から30ぐらいの作業があります。年画の色は鮮やかです。一番難しいのは、絵の中の人物の顔に色をつけることです。細かく少しずつ色を塗り、非常に時間がかかります」と述べました。
綿竹年画の題材は幅広いです。中国の歴史物語、戯曲ストーリ、民俗伝説、花、鳥、魚、虫などがよく使われます。綿竹年画は構図の対称性、完全さ、密度、メインとサブの明確さ、統一感などの特徴を備えています。色使いは、対比関係にある色を好み、強烈な賑やかさを示します。スケッチの線は洗練され流れるようであり、リズム感に富んでいます。絵の中の人物や動植物のデフォルメ、イメージ化などの手法でユーモアでリズミカルな効果を生み出しています。(担当:任春生)
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