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実習関係と労働関係についての、よくある間違った認識

2010-04-06 12:35:57     cri    

実習関係と労働関係についての、よくある間違った認識

 『事件の経緯』

 2007年3月、趙さんは「2007年卒業生双方選択就職推薦表」を持ってA社の面接を受けた。その後A社と「就職協議書」を締結し、卒業後にA社に入社し、事務職に配属されることが決まった。当時、趙さんはすでに履修科目の単位を全て修得しており、ほとんど学校に行かなくても良かったので、A社に対してすぐに勤務を開始したいと求めたところ、A社は趙さんが実習生として働くことに同意した。同年4月20日、趙さんは通勤途中で交通事故に遭い、重傷を負ったため、A社に入社することができなくなってしまった。2007年10月、趙さんは労災鑑定を申請し、仲裁を提起してA社に労災補償金を請求したところ、A社は「趙さんは実習生であり、A社とは労働関係にはないため、A社は労災補償義務を負わない」と抗弁した。

 労働仲裁委員会は、審理を経て、以下のような判決を下した。

 趙さんは『労働法』における就業年齢に適合しており、当時まだ在籍大学生ではあったが、『労働法』の適用範囲外ではなく、且つすでに「2007年卒業生双方選択就職推薦表」を取得していたため、社会一般の就業者の条件を満たしていると考えられる。また趙さんがA社で勤務していた際、まだA社と正式に労働契約を締結してはいなかったが、当事者双方の間に事実上の労働関係を成立していたため、A社は労災補償義務を負わなければならない。

 『解説』

 卒業直前の大学生が雇用者と「就業協議書」を締結し、雇用者で勤務を開始する事例がよく見られる。これに対して、大学生及び雇用者はよく「在籍大学生は、卒業書を取得する前は依然として学生であるため、勤務を開始したとしても正式な就職ではなく、実習に過ぎない」という認識を持っているが、これは間違いである。実は、卒業直前の大学生はすでに労働関係主体の資格を有するため、通常通りに労働を提供し、雇用者はこれを受け入れた場合、一般的には、当事者双方の間にすでに労働関係が成立したと認定されるのである。

 ただし、卒業直前の大学生は労災保険補償を申請することができないため、万が一事故が起きた場合、雇用者は関連の賠償責任を負わなければならない。よって、雇用者が実習生として大学生を採用する場合、普通の従業員と区別して取り扱わなければならず、さもなければ、通常の労働関係と認定され、通常の労災補償義務より重い責任を負わなければならなくなる可能性がある。

 以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。

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