出向勤務期間中も、出向労働者と出向元の労働関係は継続している
『事件の経緯』
A社とB社は、B社が技術者の林さんをA社に出向させることについて合意した上で、「従業員出向契約書」を締結し、「B社は、林さんをA社に出向させ、出向期間は八ヶ月間とする。出向期間中は、A社が林さんの賃金を負担する。」と約定した。ところが、出向期間の満了後、林さんがB社に戻ったところ、出向期間においてB社が自分の社会保険料を納付していなかったことが判明した。その後、林さんは両社に対して社会保険料の追納を要求したが、B社は、「出向期間においては、A社が林さんの賃金を負担することになっているため、当然A社が社会保険料の納入義務を負うべきである。」と回答し、A社は、「出向期間において、林さんの労働関係書類は依然としてB社が保存していたため、B社が社会保険料の納入義務を負うべきである。」と回答した。林さんは仕方なく、労働紛争仲裁部門に対して紛争解決の協力を求めた。
最終的に、労働紛争仲裁部門の調停を経て、各当事者が協議した上で、「B社が、先に林さんの出向期間分の社会保険料を追納し、その後、A社が当該部分の社会保険料に相当する金額をB社に支払う」ということについて合意に達した。
『解説』
中国の法律には、出向労働者の社会保険料の納付方法に関する規定が明確に定められている。例えば、「関与貫徹執行『労働法』若干問題の意見」では、「企業の休業中の従業員、年休又は長期病気休暇を取った人員、出向労働者及び給料支払い対象の社外研修者の社会保険料は、規定に基づき、元の勤務先及び個人により引き続き負担し、保険料の納付期間を納付年限として計算する。」と規定している。しかし、実務においては、出向という法律関係は、主に出向元と出向先の利益から生じた関係であるため、出向元は、出向先と関連費用(賃金、社会保険料など)の負担について、「出向元は自分の名義で先に納付し、その後、出向先は相当する金額を出向元に支払う。」と約定することができるとされている。
従って、企業は従業員を他社に出向させる際に、自社、出向先及び出向労働者の合法的な権利を保護するために、企業側(出向元及び出向先)としては、出向契約書又はその他の出向勤務の関連書類を作成しなければならず、且つ上記の書類を以って、出向勤務の期間、従業員の賃金の支払い、社会保険料の納付、労災事故費用の負担などについて明確に約定しなければならない。従業員(出向労働者)としては、企業間の出向契約書の内容に充分な注意を払うほかに、出向期間の福利厚生、勤務待遇、昇進などの事項について出向元と予め明確に約定したほうがよい。
以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。
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