董事会決議は、会社が自主的に作成することができる決議と言えるか?
『事件の経緯』
外商投資会社のA 社は、経営範囲を変更するために、法律規定に従って関連申請書類を用意した。その中でも、董事会決議は重要な書類の一つである。A 社の全ての董事は外国人であり、且つ長期間外国の親会社にて勤務しているため、A 社は経営範囲の変更事項を確定した後、法律規定に従って董事会決議において「経営範囲の変更」に関する内容を作成し、更に万が一に備え、「最終的な経営範囲の確定は、関連行政部門の審査要求に従う」と補充説明を記載した。
その後、A 社は行政部門にて審査手続きを行い、区レベルの主管部門から許可を得た上で、市レベルの行政主管部門に関連申請書類を提出した。しかし、市レベルの行政主管部門は審査を行う際に、A 社に対して、最終的に確定した経営範囲の内容に基づいて、董事会決議及び関連書類を修正するよう要求した。そのため、A 社は中国国外で勤務する董事に通知し、改めて董事会決議を採択しなければならないこととなった。
『解説』
『会社法』、『外資企業法』、『中外合資経営企業法』などの法律法規によると、董事会決議には、会社が内部管理の方式を決定する権利があり、会社にとっては、董事会決議書は非常に大切な書類である。董事会決議の採択は、董事会の開催、又は会社定款に定めるその他の方式で行わなければならず、大多数の会社では、董事会には定期会議と臨時会議が含まれ、董事会の開催の事前通知手続き、参加者などの具体的な内容を規定している。また、工商機関で登記された具体的な内容については、会社はこれを遵守しなければ、主管機関により指摘される可能性があり、最終的には裁判所により董事会決議が無効である、又は取り消すべきであると判断される可能性もある。
また、董事会決議は、上述の事案のように、関連申請手続き時に提出が要求されることがある。通常、董事会決議は事前に作成しているものだが(作成過程において必要がある場合、行政主管部門の人員に問い合わせることができる)、実際に申請する場合、行政主管部門の審査担当者によって審査基準、判断レベルが異なるため、申請資料(董事会決議)に対して異なる要求を受けることがある。そのため、事前に作成した決議が、申請過程において審査機関の特別要求に適合しないと判断された場合、申請者の申請した内容は許可されず、改めて作成するか、修正しなければならなくなる可能性もある。
よって、外国企業は上述のリスクを避けるため、特に董事会決議の効力に影響を与えることを避けるために、できる限り中国国内で勤務する従業員を董事に任命した方が、関連資料の準備には便利であると思われる。或いは、董事会決議の作成後、外国にいる董事から中国国内の董事又は代理人に授権し、行政主管部門の要求に応じて決議の内容を調整した上で董事会で採択する方法も考えられる。
以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。
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