「上階からの落下物」による事故の損害賠償責任について
『事件の経緯』
宇さんが、帰宅途中にAビルの下の歩道を歩いていたところ、上階から落下してきた灰皿が頭部を直撃し、応急措置の甲斐も無く亡くなってしまった。事故後、警察は現場検証を行ったが、証拠不足のため、「当該灰皿がどの部屋から落下したのか」を確定することができなかった。宇さんの両親はやむを得ず、上階から物が落下する可能性のあるAビルの75軒の部屋の居住者及び不動産管理会社を被告として訴訟を提起し、被告に対して120万元余りの賠償金を支払うよう請求した。最終的に、裁判所は、不動産管理会社に対しては賠償金請求を棄却したが、75軒の部屋の使用者全員に対しては、120万元余りの賠償金を均等に分割して支払うよう判決を下した。
この判決に対して、Aビルの居住者であるB社は、「B社は、部屋から物を投げ捨てていないにもかかわらず、いかなる理由もなく1万元余りの賠償金の支払い義務を負うことになった。これは無実の罪を着せられたも同然である。もし今後もAビルで『上階からの落下物』による事故が生じたら、再度賠償金の一部を支払わなければならないことになり、これは明らかに不公平である。」という異議を申し立てた。
『解説』
これまでは、このような事案が発生した場合、裁判所は『民法通則』の規定に従って、「不法行為者が損害賠償責任を負う」という原則に基づいて判断することしかできなかった。この場合、不法行為者を見つけることができれば、賠償金を取得することができるが、仮に不法行為者を見つけることができない場合、弱い立場にある被害者の権利は保障されないことになってしまう、という問題が存在する。このような現状に鑑み、一部の裁判所は、上述の事例のように、公平原則及び過失推定原則に基づき、弱い立場にある被害者の権利を守るために、被害者に有利な判決を下したのであった。
しかしながら、最近公布された『侵権責任法』(日本の不法行為責任法に相当する)は、被害者の権利保護の観点から、「建物の上階から投下され、又は落下した物が他人に損害を与えた場合、具体的な権利侵害者を確定することができないのであれば、自分が不法行為者ではないことを証明することができる者を除き、不法行為を実行する可能性があるすべての建物の居住者は損害賠償責任を負わなければならない。」と明確に規定している。
企業がこのような「予想外の法的責任の負担」を予防し、自分の権利を保護するために、以下の対応策をご参考にしていただければ、と思う。たとえば、企業は、建物の主要な場所に監視カメラを設置し、事故が発生した場合、監視カメラで撮影したデータを以って、企業が実際の不法行為者ではないことを証明することができる。
また、企業は、事前に「公衆責任保険」に加入し、事故が発生した場合、保険会社に賠償金を会社の代わりに支払わせることができる。
以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。
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