金銭の賃借関係も、関連企業関係と認定される可能性がある
『事件の経緯』
A社は、浙江省のとある中外合資会社であり、登録資本金は人民元2000万元であり、ベアリングの加工及び販売に従事している。2008年、A社は、アメリカのM会社から人民元1500万元を借り入れ、61803TN号ベアリング製品(単価は3元/個であり、合計600万個ある)を以って元金及び利息を分割払いで返済する、と約束した。
2008年度の脱税防止検査において、税務部門は、A社とM社は関連企業に該当し、販売している製品の価格が通常価格より低いため(A社がその他の会社に当該製品を販売する際の価格は5.5元/件である)、「可比非受控価格法」に従って特別納税調整を受けなければならない、と判断した。すなわち、A社の収入増加額は1500万元(計算公式は、(5.5-3)×600万)であり、375万元の企業所得税及び50万元余りの利息を追納しなければならず、A社が上記の税金及び利息を速やかに追納しなければ、2万元の罰金に処される恐れもある。A社は、「M社は直接又は間接的に自社の持分を有せず、且つ両社の董事、監事及び高級管理人員の間にはいかなる関係もないのに、どうしてM社の関連企業であると認定されたのか」、と疑問に思った。
『分析』
今までは、企業の間に関連関係があるかどうかについては、持分を所有しているかどうか、及び人的関係があるかどうか、が判断基準とされていた。一部の法規では「資金の相互支配関係」も企業の関連関係の判断基準とすることができると規定しているが、明確且つ数値で計量できる基準は定められていなかった。しかしながら、2009年国家税務総局が公布した「『特別納税調整実施弁法』(試行)の通知」は、数値で計量できる基準を明確に規定している。例えば、企業の関連関係において、持分比率は25%を基準比率とし、企業双方(独立している金融機構を除く)間の金銭貸付の場合は、貸付金の金額が実際払込資本金の50%以上を占める、などの判断基準が定められている。よって、税務部門は2008年度の脱税防止調査1において、これらの数値で計量できる基準に基づいて企業が関連企業に該当するかどうかを判断し、さらに実際の状況に従って特別納税調整を行ったのである。A社の登録資本金は2000万元であったが、M社から人民元1500元を借り入れており、当該貸付金額は、著しくA社の実際払込資本金の50%を超過していたため、「関連企業関係」に該当するとして、特別納税調整を受けなければならないわけである。
よって、企業間で金銭貸付を行う際に、国家の短期金融の関連規定だけを考慮するのではなく、企業間の金銭貸借も「関連企業関係」の判断基準に属することに注意しなければならない。注意することにより、税金納付の調達過程において『脱税』と認定され、税金の追納及び罰金の支払いを命じられることを避けることができる上に、上場企業のような大手企業にとって、「関連企業関係」についての正確な認識をすることは、企業経営の計画(例えば、合理的な譲渡価格など)及び各会計、法律文書(例えば、財務諸表では、関連取引についての説明、株主に四半期、年度報告書などを開示するなどが要求されている)の内容の適切性を保障するには有利である、と考えられる。
*注釈:関連税収の法律規定によると、2008年度の脱税防止調査は、2009年に実施する、とされている。
以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。
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