離婚後に夫の不倫が発覚した場合、賠償金を請求できるか
『事件の経緯』
周さん(男)は高さん(女)と結婚した後、ある女性と不倫をし、不倫相手と一緒に住むようになった。周さんは、高さんと離婚したいと考えていたが、自分の「不倫」が発覚したら損害賠償責任を負担しなければならない恐れがあるため、仕事を口実に頻繁に外出し、高さんに対してわざと冷たくし、高さんが自ら離婚届を提出するように仕向けた。最終的に、高さんはこの状況に耐え切れず、離婚届を提出した。協議離婚手続きの完了後、高さんは、周さんが自分と結婚してまもなく不倫をしていたことを知り、周さんに対して損害賠償金の支払いを請求した。周さんは、「高さんが自主的に離婚届を提出したわけであり、自分が不倫したかどうかとは関係ない。また、高さんが協議離婚の際に賠償金を請求をせず、今になって突然請求するのは、協議に違反する行為に該当する。」として、高さんの請求を無視した。高さんは、仕方なく訴訟を提起した。
審理において、周さんは以下のように抗弁した。
『婚姻法』第46条は、「婚姻当事者の一方の行為が、以下の状況に該当し、離婚を導いた場合、有責事由がない一方当事者は、損害賠償を請求することができる。…(二)配偶者が、他人と同居した場合。……」と規定している。しかし、高さんが離婚届を提出したとき、高さんは私が不倫をしていることを知らず、且つこれを理由として離婚届を提出したわけではないため、私は離婚について有責事由はなく、損害賠償責任を負う必要はない。さらに、私と高さんはすでに離婚しているため、高さんは、今更損害賠償を請求することはできない。
裁判所は、審理を経て、以下のように認定した。
婚姻関係の一方当事者が他人と同居し、婚姻関係の継続が不可能となった場合、相手当事者がこれを知っているかどうか、且つ当該行為を直接の理由として離婚届を提出したかどうかにかかわらず、行為者は、夫婦間の忠実義務に違反したわけであるため、離婚について有責事由があると考えられ、相応する賠償責任を負わなければならない。また、当該責任の負担は、すでに離婚が成立したかどうかの影響を受けないと判断し、高さんの請求を認めた。
『解説』
婚姻当事者のいずれかの一方は、不倫関係が発覚しない限り、相手方に自主的に離婚届を提出させて協議離婚が成立すれば、自分はいかなる責任も負わなくてよい、と考えるべきではない。実務において、婚姻当事者の一方が夫婦間の忠実義務に違反し、事実上夫婦関係を悪化させた場合、行為者は離婚に対して有責事由があり、相応する責任を負わなければならない、と判断される可能性がある。
以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。
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