漢詩は、ときにはわたしを励まし、ときにはわたしを慰め、ときにはわたしの心を洗い清めてくれる。訓読の訳文に加えて、素人のまったくの「遊び」だが、和漢折衷の自己流の戯れ訳を添えてみた。日本の歌人の名訳を添えた詩もある。読んでいただければ嬉しい。
「おや、ちょっと涼しいな、風もないのに。ああ、涼を感じさせるのは虫の鳴き声か」と詠うこの詩、松虫、鈴虫といった虫の鳴き声に涼しさを感じるのは中国と日本に共通したものだろう。北京の街かどでも、松虫や鈴虫を入れた小さな虫籠を担いで売り歩く郊外の農民の姿をたまに見かけるが、都市の現状化とともに、こうした農民の姿も年々少なくなっているようだ。虫の鳴き声も年ごとに減っている。