二十四節気の清明(陽暦の四月五日頃)には、中国では一家そろって墓参りをする。踏青(春のピクニック)に出かける家もある。こうしたときに、遠く家を離れ、春の冷たい雨に打たれながら異郷の寒村を一人行く旅人の心は侘しい。冷えた体を、いや、冷えた心を暖めようと、旅人は居酒屋を探す。二行目の断魂は、この詩のキーワード、断腸よりもさらに強い侘しさ、冷たい心を言いたいのだろう。春愁を感じさせる秀作である。
ちなみに、杜牧の詠った杏花村はどこだったのだろうか。色々の説があるが、割合有力なのは、中国の八大銘酒に数えられる「汾酒」の産地である山西省汾陽県の杏花村、もう一つは杜牧が地方長官をしていたことのある安徽省貴池県の杏花村である。ちょっと、銘酒、観光といった商業ペースのにおいが感じられないでもないが…
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