広州の手前で合流する珠江の三つの分流、西江、北江と東江によって、珠江デルタが形作られています。珠江デルタは約1万平方キロ余りあり、広州と深セン、佛山、珠海、東莞、中山、恵州、江門、肇慶という9つの都市からなっています。珠江デルタ地区の人口は4000万人余りで、全国総人口のわずか3％ですが、この地区の国内総生産は全国の10％を占めています。

　広東の経済の飛躍的な発展は1978年から実施された改革開放政策のたまものです。全国のモデル地域として、広東は改革開放の第一歩を踏み出し、「広東速度」と呼ばれる急成長を実現しました。国内総生産は1989年から現在まで、ずっと全国上位にランクされています。

　香港、台湾やほかの地区からの投資によって、珠江デルタ地区は西側諸国が100年かけて歩んできた工業化の道のりをわずか20年で完走しました。広州は珠江デルタ地区で最大の工業生産センターであり、重要な工業部門のほか、大学や科学研究機関、デザイン機関、検査機関などもここに集まっています。珠江デルタ地区の国際化を研究している李永寧博士は、「広州の急速な発展や広州アジア大会の開催により、珠江デルタ地区における国際化のレベルは高まっていくだろう」と述べた上で、「都市発展における一部の重要プロジェクトとさまざまな活動により、地域の国際化を促していくことができる。例えば、広州アジア大会はもちろんだが、広州の交易会やイベントコーディネートは珠江デルタ地区の発展に重要な役割を果たしている。また、自動車や科学技術などの展示会もこの地区の国際化レベルを押し上げる働きをしている」と語りました。

　ここ数年、人民元の値上がりや原材料価格の高騰、労働力コストの上昇などマイナス要因に加え、2008年のアメリカ・サブプライムローンの影響を受けて、広州と珠江デルタ地区も他の都市と同様、経済の転換や産業のレベルアップを迫られています。2008年、中国政府は「珠江デルタ地区の改革発展企画綱要」を発表しました。その中で、珠江デルタの戦略的な地位を明確にしました。それとともに、この地区の改革発展は経済建設にとどまらず、社会面の管理、文化の発展、行政体制の改革などさまざまな分野で模索していく必要性を指摘しました。

　広州市人民政府香港・マカオ事務弁公室の鄧昌雄処長は記者のインタビューに対し、「広州から近い香港には都市管理の経験など、広州の参考になるものがいろいろある。香港は非政府機構と仲介機関の発展により、社会の管理とサービスの改革を促している。それを参考にしながら、広州の社会管理サービス制度をさらに健全化させていくことができる。そして、広州の特色ある、社会管理サービスモデルが形成されるわけである。こうなれば、また珠江デルタ地区の発展が促されていくだろう」

　2010年11月、第16回アジア大会が広州で行われます。広州アジア大会組織委員会の劉江南副秘書長は「アジア大会は広州のみならず、周辺地区の発展も牽引していく」と見ています。劉江南副秘書長は「われわれはさまざまなルートを通じて、都市の多岐にわたる発展を促していく必要がある。アジア大会の都市づくりや人材育成、文化・理念などがもたらす効果は、都市の発展にとってプラスとなる。もちろん、珠江デルタ、汎珠江デルタ、および香港とマカオ地区もアジア大会の開催から利益を得るだろう」と述べました。