【北京冬季五輪 街角だより】 オリンピックグッズコレクター・張文全さん

2022-01-20 17:45  CRI

 第24回オリンピック冬季競技大会は2022年2月4日から20日まで、第13回パラリンピック冬季競技大会は3月4日から13日までの日程で、北京市と河北省張家口市の3つのエリアを舞台にそれぞれ開催されます。このコーナーでは、冬季オリンピックとパラリンピックを迎える町で暮らす人々にフォーカスします。

冬季五輪・パラ後に収蔵品展を開きたい

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1月9日、自宅でCRI「スポーツチャイナ」のインタビューに答える張文全さん

 「双奥之城(ダブルオリンピックの町)」――夏季オリンピックと冬季オリンピック両方の開催都市。オリンピックと北京のつながりをコンパクトに総括する言葉です。14年前の夏季オリンピックはスポーツだけでなく、中国社会や中国人の心にたくさんの種も同時にまきました。オリンピックグッズコレクターはその一つと言えます。

◆胡同の中の「民間オリンピック博物館」

 北京旧市街地の西安門大街。名所の北海公園まで徒歩約20分の胡同(フートン、伝統的な路地)には、中庭を囲んで数世帯が雑居する「大雑院」があります。一番奥にそびえ立ち、梁や柱が赤い漆で塗られている風格のある民家が、胡同の中の「民間オリンピック博物館」と称される張さんの家です。家自体は両親が2006年に購入したもので、一時期、張さんはここに住んでいましたが、いまは彼が収蔵品を保管、展示する専用スペースになっています。ここには、張さんが20年余りにわたり、私財約40万元(日本円では約700万円)をかけて入手した5000点余りのオリンピックグッズが置かれています。

 ドアにかかっていた南京錠が開錠され、主の案内で家の中に足を踏み入れるやいなや、北京夏季オリンピックのマスコットキャラクター「フーワー」の巨大ぬいぐるみが微笑みながら出迎えてくれました。大人の背丈ほどの高さで、腰回りは大人の2倍もあり、どっしりと存在感があります。

 「あまりにも大きくて重かったので、狭い通路を通って家の中にまで運び入れるには、2時間もかかりました」

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2階から眺める張さんの展示エリア

 守護神のように立っている「フーワー」の由来を、張さんは微笑みながら話してくれました。家の中は今風の言葉でいうと、ロフトになっています。天井が高く、吹き抜けがあり、奥は2階建てになっています。応接間にあたる空間に棚があり、そこにも巨大なフーワーのぬいぐるみが置かれていました。シャンパンタワーのように積み重ねられた北京冬季五輪大会とパラリンピック大会のマスコット、「氷墩墩(ビンドゥンドゥン)」と「雪容融(シュエロンロン)」の行列もなかなか迫力があります。このほかにも、1972年ミュンヘンオリンピックでオリンピックの公式マスコットとして初登場した「ヴァルディ」 から、歴代のマスコット人形、各大会のカウントダウン表示板、聖火リレートーチ、ユニフォーム、記念メダルなど、目移りするほどの品ぞろえです。なかでも、40本あまりの聖火リレートーチは張さんならではの収蔵です。

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北京冬季オリンピック公式マスコットのコーナー

 「グッズはインターネットを通じて世界中から取り寄せたものです。毎日、オークションサイトのチェックが日課です」

 こう話す張さんが日本関連のグッズとして、並べてくれたのは、1964年の東京オリンピックの公式報告書、記念コイン、1998年長野冬季オリンピックの記念メダル、東京2020大会のマスコットやボランティアのユニフォームなど多彩なコレクションでした。

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1964年東京オリンピックの記念メダル

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1998年長野冬季オリンピックの記念メダル

 「実は、今一番ほしいグッズは、東京2020大会の聖火リレートーチです。さくらの花びらのデザインはとても美しくて、ぜひ入手したいですが、まだオークションでは値段が高過ぎて手が出せる状況ではありません」と少し残念そうに話していました。

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1月9日、自宅でCRI「スポーツチャイナ」のインタビューに答える張文全さん

◆オリンピックと共に歩む少年

 張さんは1986年北京生まれ。今は大手ゼネコンの社員。彼が収集家になる道は、オリンピックが中国人にとって、遠い外国で起きていた出来事から、玄関先で起きた身近な出来事になったプロセスと歩みを共にしています。

 1991年、北京は初めてオリンピック招致を始めましたが、惜しくも2票の差でシドニーに開催権を譲りました。その5年後の1998年、北京は2008年のオリンピック開催を目指して、2度目の招致を始めると世界に宣言しました。

 オリンピック開催が悲願になった中、中国社会のオリンピックへの関心もかつてないほどに高まりました。そんな中で開かれた2000年のシドニー大会に、14歳の張文全少年はテレビで実況を観ながらスポーツに魅了され、おこづかいでマスコットや腕時計、カバン、ウェアなどを買いました。結果的に、それが張さんが収集家になる第一歩となりましたが、グッズは「実用的」なものばかりでした。

 2001年7月、北京が2008年のオリンピック開催権を取得したニュースが伝わり、中国中が湧き立ちました。張少年も招致成功のニュースをテレビで観て、「すごいことになった」と興奮していました。その延長戦上に、2004年のアテネオリンピックが開催された時、張さんは「大きな発見があった」と振り返ります。

 「スポーツ選手でなくても、オリンピックにはボランティアというかかわり方があることをその時に初めて知りました。それならば、北京でオリンピックが開かれる時には、僕もボランティアになって貢献したいと決心しました」

 2008年の北京大会のボランティア募集には、98か国・地域から応募があり、最終的に7万4615人が採用されました。たくさんの試験を潜り抜け、張さんはその中の一人になりました。配属先は、野球競技の会場であった「五棵松体育館」でした。

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2008年8月、五棵松体育館での記念撮影(本人提供)

 「外は真夏でしたが、館内は寒いほどにクーラーが利いていて、温度差で私も仲間のみなさんも重い風邪を引いてしまいました。しかし、どの人も苦に思わずに、毎日楽しく動きまわっていました」

 閉会後に組織委員会から授与された表彰状は、張さんの収蔵品の中でも、格別な思いがあるコレクションとなっています。

 「その時の体験のおかげで、私は他人の立場に立って物事を考えられるようになり、困難があっても恐れずに、前向きな心構えで物事をとらえるような人間になれたと思います。また、世界各国の人とともに同じ目標に向かって頑張ることの楽しさも味わえました」とオリンピックに魅せられた理由を張さんは話しました。

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2008年北京オリンピック組織委員会から授与された表彰状を手にした張さん

◆冬季五輪の招致成功で開けた新しい世界

 北京は夏季オリンピックの閉幕から7年過ぎた2015年7月、再びオリンピックの開催地になりました。今度は冬季オリンピックです。招致成功のニュースが伝わり、もう社会人になった張さんの心は再び湧き立ちました。

 「これで北京は夏季オリンピックと冬季オリンピックの両方を開催するダブルオリンピックの町になります。冬季オリンピックにもぜひ関わりたい、役に立ちたい」

 張さんはこれが第一報を聞いた時の心情だったと振り返ります。

 取り急ぎ着手したのは、コレクションの充実化でした。

 「それまでは夏季オリンピックのことしか視野になかったのですが、招致成功のお陰で、冬季オリンピックのグッズへと幅を広げることができました」

 そして、「今回もぜひボランティアになりたい」という熱い思いを温め始めました。しかし、コロナ禍で予想よりも少ない募集人数になり、すぐに応募はしたものの、願いは叶いませんでした。結果を受け、落胆する日々が続ていましたが、「そうだ。僕には自分なりの方法でオリンピックにかかわり、貢献できることがある」と開き直って奮起しました。

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北京冬季五輪スローガンPRソングMTV「ともに未来へ」の出演シーン

 着眼したのは、市内で開かれた冬季オリンピック関連の市民活動です。小中学校・大学などで開かれる冬季オリンピック関連展示会に収蔵品を貸し出したり、毎日のように鳥の巣をはじめ、冬季オリンピック関連施設の周辺へ行き、リアルタイムでその様子をSNSで発信したりすることでした。中でも、大会スローガンのPRソング「共に未来へ」のMTV撮影に参加できたことは、張さんにとって誇り高い思い出になっています。

 オリンピックボランティアには、競技会場や選手村等において様々なサポートを行う「フィールドキャスト」のほか、競技会場周辺における案内、主要駅における交通案内など、観客をお迎えする役割を担う「シティキャスト」の2種類があります。フィールドキャストの応募ではくじけまたしが、張さんは今度はシティキャストになれないかと方向を調整しました。

 「ぼくは冬季オリンピックのボランティアになりたい」

 「胡同の中のオリンピックマニア」に引き付けられ、ひっきりなしに取材に訪れるメディアがあります。取材に答える度に、張さんは必ずそう口にしていました。「夢があれば、それを口にすると早く叶えられる」と信じたからです。

 1月10日、冬季オリンピックの開幕まであと26日となったその日、張さんから「シティキャストに選ばれました」という報告があり、その声には嬉しさが滲み出ていました。

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張さんの家の一角

 ところで、オリンピック三昧な毎日を送っている張さんの生き方に対し、「正直、支持してくれる人もいれば、無駄なことをしやがってと思う人もいます。しかし、私からみれば、そう思っている人たちは、オリンピックの素晴らしさを知らないのだと思います。幸い、今は私の取り組みを支持し、わざわざグッズまで届けてくれる人も現れています。何よりの力になっています」

 そして、早くも口にし始めた次の夢があります。

 「北京冬季オリンピック・パラリンピックが無事閉会してから、ぼくは“双奥之城”(ダブルオリンピックの町)にちなんで、“ダブルオリンピック収蔵品展”を開催したい。それが今のぼくの夢です」

(取材・記事:王小燕、校正:CK)

◆ ◆

 この記事をお読みになってのご意見やご感想、または北京冬季オリンピックについての思いやメッセージをぜひお寄せください。メールアドレスはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040 中国北京市石景山路甲16号中国国際放送局日本語部】までにお願いいたします。皆さんからのメールやお便りをお待ちしております。

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