北京
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23/19
中日双方の学者や専門家ら約70人が東海問題と中日関係にフォーカスする学術シンポジウムが29日に開かれました。今年3月に中国社会科学院に東海問題研究センターが設置された後に開かれた最初の「東海研究フォーラム」として注目されています。フォーラムでは「東海をはじめとした海洋問題への的確な対処が今後の中日関係の要になること」で双方の学者の見解が一致しました。
開会式でスピーチする中国社会科学院副院長・中国歴史研究院院長の高翔氏
中国社会科学院副院長で、中国歴史研究院院長の高翔氏は開会の挨拶で、「複雑な国際情勢の中、中日は冷戦思考と対立意識を捨て去り、平等協議、互恵ウィンウィンの考えを守り抜き、対話と協議を堅持し、東海情勢と地域問題をめぐり、効果的かつ戦略的な意思疎通を保つべきである。東海が中日関係において消極的、破壊的な役割ではなく、積極的、建設的な要素になるように取り組んでいくべきである」と訴えました。
開会式でスピーチする中日友好協会常務副会長・元駐日中国大使の程永華氏
また、開会式に出席した中日友好協会常務副会長で、元駐日中国大使の程永華氏は、同センターの設立は中日の海洋協力と交流の展開に重要な意義があると示しました。程氏は、中日両国が積極的な交流を展開できる分野として、海洋気象、生態環境保全、海上の捜索・救助、防災減災などを挙げ、「中日双方が共に努力し、真の意味で東海を平和、協力、友好の海にすべきである。これこそが両国の国民の根本的かつ長期的な利益に合致する。中日国交正常化が来年で50周年を迎えるにあたり、どうすれば政治的共通認識を現実なものにし、両国関係が新たな展望を切り開けるかを真摯に考えなければならない」と呼びかけました。
シンポジウムでは「アジア太平洋の海上情勢と海洋問題」「変化する国際情勢下の中日関係」「中日関係と海洋対話」という3つの議題をめぐり発表が行われました。中国からは中国社会科学院、外交部、軍事科学院、中国国際問題研究所、中国現代国際関係研究院、中国国際戦略研究基金会に加えて、北京大学、清華大学、中国人民大学、中国海洋大学、上海外国語大学、吉林大学、日本からは東京大学、慶応義塾大学、明治大学、明海大学、笹川平和財団の学者や研究者が出席しました。
北京会場の参加者
2021年3月に設立された中国社会科学院東海問題研究センターは、研究課題・プロジェクトベースの「非実体研究機関」で、同科学院傘下の日本研究所が運営しています。同センターは、東海を中心としたアジア太平洋の海上情勢、域内の大国関係などをめぐり、ハイレベルな学術研究と交流活動を展開し、東海問題に関する政治、外交、安全保障面などの研究によって当局への政策提言を目指すとしています。
(記事:王小燕、校正:星和明、写真:朱高磊)
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