北京
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外交部の華春瑩報道官は29日の定例記者会見で、「米英豪が安全保障協力の枠組み『オーカス(AUKUS)』を立ち上げ、原子力潜水艦で協力を展開することは、地域の平和と安定、国際秩序に3つの隠れた懸念をもたらす」とし、「3か国が国際ルールの不備に付け込んで、あからさまに核拡散活動を行っている」と指摘しました。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシー事務局長は28日、「米英豪が原子力潜水艦配備における協力は、保障と監督の視点からみると、非常に厄介な問題となる。核拡散防止条約(NPT)下の非保有国が初めて原子力潜水艦を導入することでもある。原子力潜水艦の動力炉で使用される高濃縮ウランは、同機関の保障措置の対象外となることを意味する。IAEAは、国際的な核拡散防止体制が損なわれないように、今後も米英豪と複雑な技術交渉を行っていく」と示しました。同日、フィリピン大統領の報道官は、「オーカスが核軍拡競争を招く恐れがある」という、ドゥテルテ大統領の懸念を伝えました。
これについて華報道官は記者の質問に答え、「中国はグロッシー事務局長とドゥテルテ大統領の発言に留意している」とした上で、「28日、王毅国務委員兼外交部長はボレルEU外務・安全保障政策上級代表と中国・EUハイレベル戦略対話を共同主催した際、米英豪の行動は地域の平和と安定および国際秩序に3つの隠れた懸念をもたらす。つまり、冷戦への回帰、軍拡競争、核拡散の3つであると指摘した」と話しました。
そのうえで、「3か国の行動は、地域や各国の軍備拡張を刺激し、さらに核兵器の使用に踏み切るハードルを下げようとするもので、軍事衝突のリスクを高めている。 米国は、核技術を開発している一部の国を制裁・抑圧する一方で、公然と非保有国に核技術を供与しようとしている。これは典型的なダブルスタンダードだ」と批判しました。
華報道官はさらに、IAEAがオーストラリアの原子力潜水艦への保障と監督について先例を設けることになっているが、これはIAEAのすべて加盟国、特にNPT締約国の権利と義務に関わることで、国際核拡散防止システムにも大きな影響を与える。そのため、これは決してIAEA事務局と米英豪との間の協議事項ではなく、すべてのIAEA加盟国が共に協議し解決を図る問題なのである。中国は、IAEA事務局や他の加盟国と意思疎通を行い、国際的な核拡散防止システムの権威と有効性を断固として守っていく」と示しました。(ミン・イヒョウ、Yan)