【観察眼】「ともに」いるからこそ人類は前進できる

2021-08-09 17:59  CRI

【観察眼】「ともに」いるからこそ人類は前進できる

 東京オリンピックが8日夜に閉幕した。パンデミックを背景に、東京2020大会の開催をめぐり、日本国内では様々な声があった。一方、これまでの17日間、総じて言えば、運営側と各国の選手団が共同した努力の下、すべてのプログラムが滞りなく実施できた。開催により、オリンピックの感動が世界に伝わり、スポーツの真の意味はどこか、人類がコロナに代表される地球的課題と向き合う上で、何が大事なのかを考えさせるヒントを多く見出せる大会になった。 

コロナ禍でも理想は高く

 コロナを背景に、東京2020大会は開催方式や開幕・閉幕式の流れなどに対し様々な調整が行われてきた。しかし、「フェアプレーの精神と友情・連帯を大切にしながら平和な社会を築き、人類の調和の取れた進歩を導く」という「オリンピック憲章」で掲げた理想を貫く努力は怠らずに行われていた。

 入場式でひときわ目立ったチームは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とIOCの支援を得て出場を実現した難民代表団だった。2016年のリオデジャネイロ五輪に続いて今回が2度目の出場で、人数は前回の10人から29人に。数千万人以上いる難民の中のわずか29人だが、人々に平和の尊さと難民問題への関心を高める良いきっかけになったと言える。

 また、205の国と地域から総数1万1千人に上る出場選手の中、女性が48.7%を占めており、歴代最高となっている。入場式の各国選手団の旗手は男女一人ずつが担当し、多くの競技で男女混合の種目が取り入れられている。そういったところからも、大会コンセプトの1つ、多様性の実現に向けて大きく前進した大会となった。

オリンピックの本来の姿を垣間見るエピソードが多数

 今回の大会では、観客がいなかった競技場から、選手同士が勝敗を乗り越え、暖かい友情で「ともに」いたシーンがたくさん伝わっている。

 陸上男子800m・準決勝では、レース終盤の勝負所を迎えたジューイット(米国)が、バランスを崩して転倒。その後ろを走っていたアモス(ボツワナ)も巻き添えを食らって倒れた。一度は座り込んでしまった二人が、握手をしてから肩を抱き合い、その後並んでゴールまで走り、同じ組で走った各国の代表たちが笑顔で彼らを出迎えた。

 卓球女子シングルスの表彰式では、優勝した陳夢が記念撮影の際に、銅メダリストの伊藤美誠に表彰台の高い位置に上がるように促した。そして、伊藤が銀メダリストの孫穎莎にメダルの向きが反対であることを合図して教え、孫はメダルを一度首から外してかけ直した。

 バドミントン男子シングルスで、中国の諶竜(しん・りゅう)がデンマークのビクター・アクセルセンに敗れ、銀メダルとなった。試合後に二人はユニフォームを交換し、アクセルセンはその際、「結果はどうであれ、あなたはバドミントンファンのアイドルであることは変わらない。私もあなたからいろいろと学びたい。次回の対決を楽しみにしている」とリスペクトを込めて挨拶した。

 また、競泳女子400メートルメドレーリレー決勝後、金メダルを獲得した中国の張雨霏は、8位で終わった日本代表の池江璃花子のインタビューが終わるのを待って歩み寄り、抱擁を交わした。張選手は、「see you next year」と来年開かれるアジア競技大会での再会を約束した。二人は2018年のアジア大会でバタフライで争い、池江は1位、張雨霏は2位だった。白血病と闘い、見事五輪出場資格を手に入れた池江選手に、張は祝福と尊重を表している。 試合中のことだけではなく、アーティスティック・スイミング中国代表の梁馨枰は7月31日、東京で生涯忘れない誕生日を迎えたという。その日の夜に、練習が終わった後、練習場内に突然、各国選手やボランティアからの「ハッピーバースデー」の大合唱が沸き起こり、ボランティアからは折り紙で作った花束も受け取った。「世界は大きな家族だと実感した」と梁は感無量だった。

 東京から伝わってきたこうした数多くのシーンから、スポーツやオリンピックの真の姿を垣間見させてくれている。人間は競い合いにより向上心を高められるが、それ以上に、どんな時も友愛とリスペクトの心で相手と共にいることの大切さ。支えあいながら、ともに進歩することこそ、人類社会の持続可能な発展につながる。

「ともに」を心掛けて 聖火は東京から北京へと受け継がれる

 一方、課題が残される面もある。中国からすれば、不可分の一部である台湾地域のオリンピック出場名義をめぐり、1981年、IOCが「Chinese Taipei(中華台北)」の名義を用いて国際的な場に参画することを承認した。それ以来、オリンピック委員会方式(Olympic model, Olympic Protocol)と称されるこの方式が踏襲されており、東京2020でも例外ではなかった。しかし、NHKが開会式中継の解説で、「チャイニーズ・タイペイ」の入場を「台湾」と紹介されたのをきっかけに、主として、インターネット上で、台湾地域の参加名義を巡る議論が再燃している。国際社会の合意事項を覆すことにつながるような雑音は、排除すべきものである。

 また、無観客開催の東京大会は一方では、過去になかったほど「デジタルでつながった」大会でもある。そうした中、選手に対するSNSによる中傷が相次ぐなどデジタル時代だからの課題も浮かび上がっている。瞬時に感動と嬉しさを伝える反面、ひぼう中傷も一瞬にして広まる。諸刃の剣であるSNSを人類の進歩と発展につなげていくには、世界が「ともに」なっての取り組みが求められる。

 オリンピックが開催される間、デルタ変異株の蔓延で、日本国内では新型コロナウイルス感染の第5波の真っ最中にある。1日当たりの全国の新規感染者数は開幕した7月23日では4225人であったが、閉幕した8日は1万4472人にまで膨らんでいる。また、東京入りした後、19人の選手がウイルス検査で感染が確認され、退場か棄権せざるを得なかった。オリンピック関係者の感染者数が合わせて436人に上った報道もある。感染症対策が依然として日本と世界にとっての最重要課題であることを物語っている。

 なお、延期開催やコロナ対策に伴っての費用増加、無観客開催などで見込まれていた入場料や経済効果が期待できなかったことより、高まった財政的負担なども、今後、東京が長期に向き合う問題になるとみられている。

 東京オリンピックに続いて、24日からパラリンピックの開催も控えており、チャレンジは続く。しかし、これまでの17日間を振り返れば、人類社会が手を携えれば、困難は必ず乗り越えることができる。そういう自信を見出せた大会でもあったと言える。

 パンデミックとの闘いを背景に、東京2020大会からオリンピックモットーに「ともに」が新たに加わっている。パンデミックとの闘いをオリンピックのパラレルステージと例えるならば、「ともに」こそが共有されるべきモットーと言える。

 来年2月、冬季オリンピックの聖火が北京で灯される。東京、ありがとう!そして、北京がんばれ!

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10月29日放送分
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王巍