北京
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中国各地には仏教を学ぶための学校「仏学院」が数多くある。同様にラサにはチベット仏教を学ぶ学校のチベット仏学院(中国語:西藏佛学院)があり、ここで僧侶、尼僧が日々勉学に励んでいる。ラサ市中心部から車で1時間ほどのところにチベット仏学院はある。
チベット仏学院は総面積488ムー(約32.5万平方メートル・東京ドーム約7個分)の敷地に総合校舎、礼堂、図書館、宿舎、運動場などが設けられ、2017年9月に竣工した。
現在は尼僧を含めて904人が在学し、これまでに744人が卒業している。また、各種短期の研修生の受け入れも行い、2640人が修了している。取材時はちょうど、卒業論文の口頭試問が行われていた。
尼僧教育の先駆けとして、チベット仏学院は短期の2年と長期の4年の教育体制をとり、現在は約300人が在籍している。学生の年齢は様々で自身が学びたい段階で試験を受けて入学して、今にいたる。
仏学院での授業は多岐にわたる。チベット語、標準語、歴史、政治・法律、天文学、さらにはコンピューターもある。施設内のコンピュータールームは充実していた。WordとExcelのショートカットキーの一覧もあった。これからの宗教の担い手はITスキルも必須のようだ。
また、授業中に紙の教科書はもちろんのことだが、スマホやタブレットも各個人が使っている。チベット仏教という伝統的な宗教の学びの場でも、現代化の波は確実に訪れている。学生たちは寮で共同生活を送りながら、自分の部屋でパソコンでレポートを作成するなどして、日々の授業に臨んでいる。
授業の一つ「弁経(中国語:辩经)」の練習風景を見学した。弁経は質問する者と答える者に分かれ、議論を繰り広げるというものだ。至る所で問いと答えを何度も繰り返し、熱気を帯びる様子をみると、ここで学ぶ学生たちの熱量を感じることができた。また、教室内の授業でも教師の論に対して、自身の考えをぶつけて納得させられるかどうかという双方公式の講義が行われ、一方的に教えるのではない積極性が求められる授業が展開されていた。
チベット仏学院の構内の雰囲気は、まるで大学のキャンパスのようだった。校舎で授業を受け、休憩時間や授業終わりには友人同士で語らいながら日かげでゆっくりと過ごしていた。もちろん、ここで学び終えた後は各地域の寺院に戻るなどして研鑽を重ねることになるが、どの学生も積極的に取り組み、ここでしっかりと身につけていこうとする責任感、また、地域のチベット仏教を支える存在となる使命感を持っていることを感じさせた。
一つの伝統的宗教文化であるチベット仏教は、チベット仏学院という学校を通じて、より系統的に歴史を刻んでいく道を進んでいる。
最後に校舎内に見つけた火災予防を呼びかけるポスターが興味深かった。チベット仏教と現代の消防風景が組み合わされ、とても印象に残る作りはどちらにも親しみを感じさせるものだった。(日本人記者:星)