北京
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新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州イリ河北岸に位置するイリ州文化芸術活動センターに、イリ州歌舞劇場がある。ここには1200人収容の大劇場、250人収容の小劇場のほか、3室の稽古場が設けられており、漢族、カザフ族、ウイグル族など9つの民族からなる舞踊団、楽団、声楽団、劇団など合わせて219人のアーティストが所属している。
イリ州歌舞劇場
その中で、舞踊団を率いるクライツァイ・カティアルさんは演出、振り付けとしてカザフ族舞踊をはじめとする民族舞踊の伝承に奔走している。カティアルさんは無形文化遺産に指定されているカザフ族の舞踊「黒走馬」の伝承者だ。舞踊はもともと生活の中から進化したもので、カザフ族の生活は馬と切り離すことが出来ないため、カザフ族舞踊にも文字通り、馬に関する動きが多いとういう。カルティアルさんは2017年に中国民族舞踊教育における脚色演出家として抜擢され、カザフ族舞踊についての交流や舞踊クラスを教えるために幾度も北京を訪れている。また、同年からイリ州歌舞劇場舞踊団に政府の補助金が下り、遠征費や衣装代などに当てられるようになったほか、政府が北京舞踊学院との交流を支持してくれ、イリ文化の宣伝も行ってくれている。
イリ州歌舞劇場舞踊団を率いるクライツァイ・カティアルさん
カザフ族のダンスの特徴を教えるカティアルさん
カティアルさんが継承者、演出家として心がけていることは、伝統舞踊の保持と発展の融合だ。カルティアルさんは「伝統舞踊には必ず代々受け継がれてきたスタイルがあるが、新時代の人々の好みや要素をプラスすることで、現地の人々、そして全国の人々に評価されている」と話す。また、生徒は15歳から40代中盤と年齢幅も大きく、カザフ族を始め、9つの民族30人以上おり、「各年齢、各民族の生徒が共に踊り、共に学んでいる」と誇らしげに語ってくれた。
稽古場で踊る各民族のダンサーたち
カティアルさんは民族の垣根を越えて舞踊でつながり、そして一つの舞台でそれぞれの民族の特徴や要素を表現できる演出を行っている。伝統と新時代の要素や各種民族が融合した舞踊は見る者の心をも躍らせ、楽しませてくれる。カティアルさん率いる融合スタイルの民族舞踊がより多くの人々の目に触れることを願う。(文、写真:CK)