北京
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中国南西部の雲南省で北に500キロ以上移動したアジアゾウの群れが、世界中で注目される「インフルエンサー」となっています。ゾウの群れは雲南省の省都である昆明市に到着した後、西北に移動し南下しており、現在はずっと雲南省玉渓市易門県あたりで活動しています。幼いオスのゾウが群れを離れて10日たち、このゾウは群れから19キロ離れた昆明市晋寧区で活動しています。
幼いオスのゾウが群れを離れた理由
中国の西双版納(シーサンパンナ)国家級自然保護区管理保護局の高級エンジニア・沈慶仲氏は、本当に群れを離れるのではなく、反抗期を迎えたことが原因かもしれないとの考えを示しました。
同氏は長年、西双版納でアジアゾウを観察しており、「5、6歳のオスのゾウは互いにけんかをしたり騒いだりするのが好きで、6、7歳になると群れから離れたりすることがあるが、しばらくすると戻ってくる。オスのゾウは12歳ぐらいになって性成熟が始まり、繁殖能力を持って、パートナーを探す必要がある時期になってこそ、本当に群れを離れる」と述べました。
ゾウの群れはいつ家に帰る?
これについて沈氏は「しばらくは、ゾウを家に帰す良い方法がない。雲南はすでに雨季に入っている。ゾウの群れを導いて西双版納に帰すには、途中で紅河を渡らなければならない。現在水位が上がっていてゾウは渡れないから、長期間、玉渓にとどまるだろう。それに玉渓は夏が暑いし、川もあり、気候や環境は西双版納と似ていて、しかも農作物が成長する季節で、食べ物に困ることはない。連日の観察から、ゾウの群れは帰り道を急がないと判断した」と述べました。
専門家は、雨季が過ぎて、ゾウの群れを導いて紅河を渡らせ、西双版納あるいは普洱(プーアル)に帰すのは、冬になるだろうと予測しています。
国家林業・草原局アジアゾウ研究センターは、ゾウの進行方向を事前に判断し、複数の地点に観測装置やパルスフェンスを設置し、ゾウが住民の多い区域に入らないようにしています。
また、雲南省は今回ゾウが通る沿線で発生した経済的な被害に対して、野生動物による被害の保険によって金額を確定し賠償を開始しました。政府は沿線住民に生じた損害を賠償します。現在、この保険はすでに雲南省全域をカバーしており、個人で加入する必要はないとのことです。(Mou、浅野)
玉渓市易門県の森で昼寝をしているゾウの群れ 森林消防より
昆明市晋寧区で撮影された群れを離れたオスのゾウ 森林消防より