北京
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集合写真を撮る信陽農林学院の卒業生
6月は中国の卒業シーズンです。また新たな大卒者が学校を出て社会に入ります。教育部のデータによりますと、今年の全国の大卒者は前年比35万人増の909万人に上ります。例年とは異なり、アルバイトをしながら各地を旅行するなどして人生経験を豊かにする人や、大学院試験や公務員試験、各種職業技能試験に向けて準備する人、新型コロナ収束後の海外留学を待つ人など、「ゆっくり就職」の傾向が多く見られます。
華東師範大学社会発展学院社会学科の文軍教授は、ゆっくり就職について、「怠けではなくむしろ自分に対する要求が高いことを意味する。例えば、大学院試験に合格できなかった学生の多くは、猛勉強して来年また受験することを選ぶ。中国の若者の自己実現意欲がますます強くなっていることの現れだ」と分析しています。
中国教育部学生司の呉愛華副司長は、ゆっくり就職について、「社会の包容性と大学生の職業選択観が多元化していることの一つの現れだ。現在の大卒者の多くは1995年から2000年以降に生まれた一人っ子で、昔と比べて家庭の条件は良く、保護者も子どもの選択を尊重している」との見方をしています。
ゆっくり就職現象を受け、大学側は、教師との相談、家庭と学校の連携、友人同士での支援などを通じて、卒業生一人ひとりの実情に即したサービスを提供しています。多くの大学は、実習室や学業共有センター、就職情報などを提供することで心理面もケアしています。
北京師範大学戦略人材研究センターの主任である王建民教授は、ゆっくり就職について、「就職しないということではなく、まして逃避ではない。卒業生は社会に入り、労働のつらさを体感しながら自分を高めて、将来のための基礎を築くべきだ」と話しています。(殷、柳川)