北京
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海を越えて一冊の本が北京にある私の机に届きました。
タイトルは『私たちはこうしてゼロから挑戦した―在日中国人14 人の成功物語』(趙海成著、小林さゆり訳、アルファベータブックス2021年4月26日初版)。表紙は海の色であり、空の色でもある青地にカラフルな写真が印刷されています。
本の帯には「コロナ禍でも決して諦めない。その創意工夫と尽きることのない情熱の日々に迫る!在日中国人14人の事業成功の秘訣とは?」と書かれた大きな文字が、読む人の興味を掻き立てます。
「異郷で名を上げる」「美と技を極める」「共に支え共に生きる」の三章構成で、369ページもある分厚い本です。中国から日本にわたり、様々な業界で腕や技を極め、信頼を得て、評価を受け、事業や仕事を成功させた14人の人生について、丁寧に取材されています。
取り上げた14人とは、
・骨伝導技術を活用した最先端デバイスメーカーの社長、
・人気テレビ番組「料理の鉄人」で「鉄人」に輝いた中国料理店オーナー、
・「ゴッドハンド」と評されるトップレベルの整体師、
・中国製手袋を輸入販売して年商二十億の女性社長、
・本場中国式リフレクソロジー専門店の経営者、
・数々の賞に輝いたモダンダンサー、
・日本一のダンスシューズを開発・販売する社長、
・パミール高原生まれの劇団四季のメインキャスト、
・オーガニック野菜の生産者、
・日本式保育を中国に取り入れた経営者、
・元プロ歌手出身のバス会社の社長、
・所持金5000円で日本に行き、現在は総資産一千億円超の華人企業家となっています。
著者の趙海成さん1955年、中国・北京の出身。北京の大学で日本語を専攻し、85年に日本にわたり、日本大学芸術学部でテレビ(理論)を専攻。1988年には初の在日中国人向け中国語新聞『留学生新聞』の創刊に携わり、初代編集長を10年間務めました。その後、外国人向けメディアでの就職を経て、2000年、中日共同制作のドキュメンタリー『シルクロード』の制作に参加。2002年に中国に帰国し、以後は中日を行き来しながらフリーのライター/カメラマンとして活躍しています。「CRIインタビュー」は、2016年6月放送の番組で趙さんをゲストに迎えて、じっくりお話を伺いました。
この本の翻訳を手がけた小林さゆりさんは長野県生まれのフリーランスライター、翻訳者。2000年から5年間、中国の日本語月刊誌『人民中国』雑誌社に勤めたのを皮切りに、北京に約13年間滞在し、2013年に日本に帰国。中国の社会・文化事情などについて各種メディアに執筆をしている方です。
お二人のコラボレーションは、2015年、CCCメディアハウスから出版した前作『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』に続いて、2作目となります。
『在日中国人14人の成功物語』は、趙さんが中国語誌『日本総述』(『The Japan Journal』中国語版)での連載記事がベースになっていますが、それに加筆、修正をしたうえ、コロナ禍の影響にどう立ち向かってきたかという追加の取材も盛り込んで完成させたものです。
新型コロナウイルスの感染拡大が日本で今も続く中、無事出版が実現できたには、著者、翻訳者、そして、発行人の並々ならぬ熱き思いが込められていることと察します。
訳者の小林さんは趙さんの本は、「丹念なインタビューにより、在日中国人たちの赤裸々な告白や本音に迫ることができた」と評しています。そして、「在日中国人のライフストーリーや成功譚から、日本人と中国人について、また、その共生について考えてみることも意味深いかもしれません」と「まえがき」で綴っています。
発行人の春日俊一さんは登場人物たちの生き方について、「逆境にも果敢に立ち向かい、精神的な強さだけでなく、創意工夫して、その困難を乗り越えようとする彼らの仕事に対する情熱に驚き、感動すら覚えます」、「本書を読めば、日本に来た中国人が決して彼らが中国人であることに拘ったりせずに、日本の会社で働いたり、企業して日本人の顧客にどうやって気に入ってもらえるか、どうやって日本の取引先と誠実に付き合い、良い仕事ができるかを真剣に考えて、実行してきた姿を知ることができます。そして、彼らが異国である日本と言う国を愛していることも伝わってきます」と評価しています。そのうえ、「日本人も中国人も同じ人間であり、国家や民族を超えて分かりあえることもできることも本書を読めばわかる」と出版に込めた思いを明かしました。
詳しくはどうぞ番組をお聞きください。
■著者・趙海成さんからのメッセージ:
「この本は、所持金をほとんど持たずに日本に渡り、さまざまな困難を乗り越えて、みごと事業を成功させた中国人たちのライフストーリー集です。昨年来のコロナ禍においても、彼らは挑戦し続けています。その創意工夫と尽きることのない情熱の日々に迫ってみました。皆さん、良かったら、ぜひお読みいただければと思います。」
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