北京
PM2.577
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日本政府は13日、東京電力福島第1原発の汚染水について、ろ過と希釈を経て海洋に放出することを決定しました。米国務省はそれとほぼ同時に、日本の決定を支持する声明を発表し、ブリンケン国務長官がツイッター上で日本に感謝する内容の投稿もしました。
一方で、ドイツのキールにあるヘルムホルツ海洋研究センターの学者が主導して2012年に発表された論文では、福島第1原発からの放射能汚染水の海洋拡散シミュレーションに基づく分析の結果として、海洋放出から2年後、日本が受ける汚染が緩和する代わりに米国の西海岸付近が最も汚染される地域になると指摘しています。また、米国が福島第1原発の汚染水の最も長期的な被害者になるともしています。
しかし論文におけるシミュレーションは理想的な状況であり、現実は理想よりかなり深刻なものになると予想されています。
まず、論文の研究対象はセシウム137だけですが、実際のところ汚染水には炭素14や重水素など大量の放射性物質が含まれています。それらの放射性物質が海流によってどのように流され、人間の体や海にどのような影響がもたらされるか、結論はまだ出ていないのが現状です。
また、論文は汚染水の海洋放出を「数週間のみ」と想定したものですが、日本政府が発表した海洋放出計画は10年間に及ぶものでした。数週間のみでも米国の西海岸にまで影響が及ぶことから、10年も放出し続けるなら、その被害を免れる場所は世界にはないでしょう。
さらに、論文は放射性物質を含む汚染水が海へ放出後、主に東のほうへ流されるとしていますが、それは表層海流だけを分析した結果です。海面下および深層の海流の流れについては触れていません。(鵬、柳川)