絵手紙で結ばれた中国と日本のまごころ

2021-02-23 21:56  CRI

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 北京放送のリスナー歴約70年の神宮寺敬さん(甲府市在住)は、この2月23日で101歳のお誕生日を迎えました。北京放送のスタッフからは親しみを込めて、「おじさん」と呼ばれている神宮寺さんのところに、今年は誕生祝いに中国からたくさんの絵手紙が届きました。
 筆で描いた絵とお祝いの文字からなる、これらの手紙を描いた人は、中国の10都市にいる絵手紙愛好者の皆さんです。8歳の小学生もいれば、20代の博士課程在学中の学生や定年退職者もいます。
 何故、これらの絵手紙が中国から神宮寺敬さんのところに送られていったのでしょうか。その中に込められた「まごころ」を掘り下げてみました。

<絵手紙の中国伝来>

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 今から約20年前の2000年頃に、蘇州在住の筆作り職人の倪颂霖さんは、自身の筆を愛用していた日本絵手紙協会の関係者を通して、絵手紙の存在を知りました。

 倪さんは、「絵手紙から中国画の姿を見出すことができるため、親しみを覚える」と話し、絵の上手か下手かよりも「心の贈り物」であるという理念に心打たれて、中国でもそれを広めようと決心しました。

 倪さんの活動は、当時の蘇州市外事弁公室の責任者である談工皎主任の賛同を得て、蘇州市内の一部の小中学校でも絵手紙を教育の一貫として導入されて、実を結びました。その成果の一つとして、中日国交正常化30周年にあたる2008年に、蘇州市と日本絵手紙協会の共同企画として、「中日絵手紙10万通合同展」が開催されるまでになりました。

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中国から日本絵手紙協会小池邦夫会長とのやり取り

 今は自らが立ち上げた蘇州市絵手紙協会の会長を務める倪さんは、「絵手紙は、中国の伝統的な筆と墨を使って、国境と時代を跨いだ効果的な交流ツールとして蘇州で幅広く受け入れられた」ことを大変喜んでいました。

 日本伝来の絵手紙は、蘇州の都市の歴史に忘れがたい足跡も残しました。2003年6月、蘇州で開かれる予定だった第27回世界遺産委員会が感染症SARSの影響で、急遽パリに移しての開催となりました。

 「蘇州にもう一回チャンスをください」という願いを世界にPRしたのは、蘇州の子どもたちが描いた絵手紙でした。パリ会場に送られた1750枚の絵手紙は、世界から訪れた500人の代表らに蘇州の気持ちを伝える最高のお土産となりました。絵手紙に込めた思いが実り、翌年、第28回世界遺産委員会が蘇州で無事開催されました。

<101歳の神宮寺敬さんに絵手紙で「おめでとう」>

 蘇州を拠点に中国各地に広まった、絵手紙を送る動きの主な担い手は、主として、蘇州市絵手紙協会、そして、同協会と友好関係にある「スケッチ中国」という美術愛好者の団体です。Wechat上のグループチャットでは、メンバーたちは季節の変わり目ごとに絵手紙を送り合い、24節気にまつわる絵手紙企画も行ってきました。

 40年前に、神宮寺さんの家で下宿した田紅さんもメンバーの一人です。1986年から毎年のように、秋の稲刈りが終わった後に、必ず家族とともに中国を訪れる神宮寺おじさんが、コロナ禍で中国に渡航できないことを残念がっていることを聞きつけ、仲間の皆さんに神宮寺敬さんのことを文章と写真で紹介し、「中日友好をラーフワークとして取り組み続けてきた神宮寺おじさんに、誕生祝の絵手紙でも描きませんか」と呼びかけました。その結果、国内の10都市とスイス在住の仲間たちが、18通の絵手紙を書き上げました。以下がその一部の写真です。

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 「絵手紙は素朴ではありますが、心から発する真心です」と田さんは言い、何でもスピードが重んじられる現代社会において、ゆったりと思いを伝える伝統的なツールの大事さを強調しました。

 対面したことがないにもかかわらず、多くの仲間が呼応してくれたのは、「神宮寺おじさんの中日友好を思い続ける思いとその精神に心打たれたからだと思う」と話しました。

 なお、これらの絵手紙は、旧正月春節期間中の中国から、郵便で送る場合の遅延を考え、まずは電子版にして送信し、原本は改めて郵便で届けることになっています。

【番外編】

<神宮寺敬さんとはどんな人?>

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中国からの絵手紙に返事を送る神宮寺さん(2021年2月撮影)

 山梨県甲府市。武田神社から要害山(ようがいさん)に向かって、徒歩10分ほど歩くと、富士山が一望できる下積翠寺町につきます。バス停「神宮寺」を降りれば、目の前が神宮寺敬さんの自宅になります。

 1920年2月23日、養蚕農家の次男としてここに生まれた神宮寺敬さんは、日本では今は残りわずかとなる戦争体験者世代です。総力戦体制の下、通信会社の会社員だった敬さんも徴兵され兵隊となりました。後に通信兵として、中国や東南アジアでの侵略戦争の戦場に行き、敗戦は上海で迎えました。

 その後、自ら組み立てたラジオで海外からの日本語放送を聞くようになり、日本が中国で行った戦争が侵略戦争だったと気づきました。新中国成立間もない頃の1950年代初めから、敬さんと奥様の綾子さんが日本語月刊誌「人民中国」を購読し、北京放送を聞きはじめました。1966年、「人民中国」社の招待で戦後にして初めて中国を訪問し、その時、北京の宿泊先である民族飯店のまごころのこもった接客に感動し、また、両国の平和と友好を心から願っている多くの中国人に接したことで、日中友好と平和増進をライフワークにしようと決意しました。

 1970年代後半、中国が改革開放され、山梨大学に国費留学生が派遣されたばかりの頃、神宮寺さんと奥様は真っ先に自宅を改築して、中国人留学生に下宿先として自宅を提供しました。1986年、北京放送を訪ねた時、当時の中国では海外渡航が自由にできなかったため、多くの若手アナウンサーは、日本に行ったことがないまま、マイクに向かっていました。それを聞き、神宮寺さんは帰国後、ローカルのテレビ山梨(UTY)に北京からのアナウンサーを受け入れ、アナウンス訓練のチャンスを提供するよう働きかけました。それがきっかけで、「仕事はテレビ山梨、生活は我が家」という敬さん一家の好意で、北京放送の多くの若手アナウンサーが訪日研修を受けるチャンスに恵まれ、神宮寺家でお世話になりました。

 神宮寺敬さんは1986年以降、毎年のように、秋の稲刈りが終わった後に家族を連れて、友人たちと「一期一会の約束を果たす」ために、北京を訪れています。

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自ら撮影した神宮寺さんの写真でつくった誕生日カードも(撮影&制作:閻彤)

 ところで、101歳の誕生日を元気に迎えた神宮寺さんは、この日をどのように過ごしたのでしょうか。なんと、朝早くから囲碁のトーナメント戦に出かけていたそうです。中国からたくさん送られてきた絵手紙について、「力強い字で描かれていて、皆からの『おめでとう』に本当にありがとう。また皆と会いに中国に行きたくなりました」としっかりとした声で感想を述べました。そして、健康長寿の秘訣について尋ねると、「好きな事を言い、好きな物を食べる」ことでした。

 101歳になった神宮寺さんの声、そして、中国の関係者の思いを伝える声は番組でお聞きいただけます。

(取材&記事:王小燕、写真提供:速写中国、蘇州市画信協会、田紅、閻彤)

◆ ◆

 この番組をお聞きになってのご意見やご感想をぜひお聞かせください。メールアドレスはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040 中国北京市石景山路甲16号中国国際放送局日本語部】もしくは【〒152-8691 東京都目黒郵便局私書箱78号 中国国際放送局東京支局】までにお願いいたします。皆さんからのメールやお便りをお待ちしております。

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