北京
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今月1日から、中国の複数の都市で新型コロナウイルス不活化ワクチンの接種が始まっている。北京市では2021年の旧正月(春節)までに、仕事や学業目的の海外渡航者のほか、感染リスクの高い職場で働く税関職員や医療従事者、また、水道光熱、介護、環境・衛生、通信などの分野の関係者を含む9種類の重点グループを対象に緊急接種が無料で行われる。これにより、旅行シーズンである春節連休(今年は2月11日〜17日)を迎えるまでには、市内だけでも数百万単位の人々へのワクチン接種が完了する計画だ。実際に、ここ数日間ですでに福祉関係者やバスの運転手など7万3000人以上が1回目の接種を受けた。
急ピッチの接種を支えているのは、国内企業の生産体制だ。新型コロナワクチンの生産能力向上に取り組んでいる企業は現在、国内に18社ある。中国国内の膨大なニーズを満たせる見込みも立っているが、それに先駆けて、ワクチンの海外提供もすでに始まっている。
アラブ首長国連邦(UAE)は12月、中国製ワクチンの国民向け接種を開始した。また、パキスタンは12月31日、中国医薬集団(シノファーム)と120万回分のワクチンを購入する契約を結んだことを発表した。これらの背景には、新型コロナワクチンの安全性と有効性を何より重視しつつ、ワクチンの公平な分配を推進していくという中国の一貫した理念が存在している。
習近平国家主席は、「中国製ワクチンを世界の公益に資するものにする」と表明した。これは、習主席がかねてより提唱してきた「人類運命共同体」の構築や、「生命至上」の理念を思えば、ごく自然な発想と言えるだろう。中国製ワクチンがまさにこれから、世界の多くの人々の命を守ろうとしている。しかし、人々の命を真に守るのは、全人類の生命のためにこのワクチンを届けようという、理念そのものだとも言えるだろう。
中国製の新型コロナワクチンは世界保健機関(WHO)の基準を満たしており、同様に基準を満たしたワクチンの開発は世界各国でも進められている。今こそ開発能力を持つ国が手を携えることで、研究開発を加速させ、さらなる効果向上、ひいては全人類の生命の保護を目指していくべきではないだろうか。
このような思考が生まれるのは、多くの中国人がこの約一年間、「生命至上」の理念を抱えながら、また、多くの国々と助け合いながら感染症と戦い抜き、「人類運命共同体」の重要性を実感したからだ。国も人種も問わず、すべての生命を至上とする理念こそが、この未曾有の規模の感染症の脅威に立ち向かう最良の薬であり、それはまもなく、ワクチンの効力を通して世界に示されていくはずだ。(CRI日本語部論説員)