【CRIインタビュー年末特別企画】WHO下でのコロナ対策を 人類共同の新しい未来に立ち向かおう~国連元事務次長・明石康氏に聞く

2020-12-30 21:46  CRI

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【CRIインタビュー年末特別企画】WHO下でのコロナ対策を 人類共同の新しい未来に立ち向かおう~国連元事務次長・明石康氏に聞く_fororder_111

 2020年が残りわずかとなる28日、東京にいる元国連事務次長の明石康先生に電話でインタビューし、行く年を総括し、来る年を展望していただきました。

◆コロナ対策での団結が他の問題解決のモデルになり得る

――まず、2020年をどのように振り返りますか。

 2020年は人類全体にとって災難の年だったと思います。しかし、と同時に、この地球に生きておる人類が、パンデミックの前でどんなに弱い存在であるかということを気づかされた歴史的な年でもありました。

――明石先生は、人生の約40年間、国連と関わってこられました。2020年は国連創設75年の年ですが、そういう視点から振り返っていただきますと、特に印象に残ったことは?

 国連は今もいろんな試練があります。75年経って、国連には古くさい面も少しずつ見えてきたので、それをどう変えていけば良いだろうかという議論が大変盛んですよね。

 私は中国は1971年秋の中国代表権の問題が解決された時、安保理議場の興奮した雰囲気をまだ覚えていますけれども。そういう中国は、これからのナンバーワンの国でもあるアメリカとどういう関係を持ち、その結果、アフリカとか中東とかアジアがまたどう変わるだろうかということで、皆さん想像をたくましくして議論しています。

 そういう意味では、2021年は、今年大きな宿題になったコロナウイルスの問題、世界経済と世界平和、また国連の役割というものを皆が、真剣に考えていく年になって来ると思いますね。

――1971年秋、中華人民共和国が国連で中国の代表権を有すという投票の現場に、明石先生もいらっしゃったんですか。

 そうですね、私は国連総会の議場の片隅で、その様子を眺めておった一人なんですけどね。中国代表権が北京の中華人民共和国政府に移ったということを世界中の国々、特に発展途上の国々が本当に心から飛び上がって喜んでる模様を、今でも非常にはっきりと覚えています。

 当時の日本政府としては、まだ台湾を支持しておったんですけど、私は個人的に、中国大陸を現実に支配している政府が人民共和国政府である以上、大きな歴史の流れとして、当然、北京の政府が中国の議席を占めることになったということは、国連の将来を考えた上でも当然のことであったし、歴史の流れであったと今でもよく覚えておるし、個人的には非常に喜んでおりました。

――ある意味、人類が理想を託している国連ですが、目下の人類の課題の解決に向け、国連の果たすべき役割について、どうご覧になっていますか?

 パンデミックは全人類に課された大きな宿題です。ワクチンの投与などというメディカルな問題のみならず、世界の自由貿易が本当に人類全体の役に立つような形で、世界的なルールの下で展開されるかという問題も、我々の前に顔を見せておる。それのみならず、地球環境、汚染、温暖化、それから特に途上国の貧困の問題、そういうのは全部我々の前にあるわけです。コロナの収束のために、みんなで団結して解決しようという姿勢は、他の問題解決のモデルになり得るんじゃないかという期待も持っていると思います。

 今の国連がまだ弱いとか、欠陥だらけだとか、言って批判するだけではなくて、それをどのようにうまく使うか、大国はもちろん大国としての知恵があると思いますけど、それだけでは足りないと思います。今や当初の51ヶ国から4倍近く大きくなっている国連ですから、問題の解決はなかなか難しいと思うんですけど、できるだけみんなで、仲良く率直な議論を交わしながら、共通の結論を出して、新しい未来に一緒になって立ち向かうということが、我々の一人一人に与えられた大きな、重い宿題だと思いますね。

◆謙虚に学び合いながら協力しあう 21世紀を人類共同の世紀に

――中国と日本は東アジアの隣国です。そうした人類の課題の解決に向け、明石先生としては、この二つの国に寄せるき期待はどのようなものでしょうか?

 私は個人的に中国と日本、このアジアでのとても大事な二つの国々が、過去においては仲良く学び合ったこともあるし、また不幸な戦争をしたこともあります。戦争は二度と繰り返してはいけないということが、あまりも明らかなことですし。あの戦争の前には何千年という交流の歴史があってね。特に、大きくて悠久な歴史がある中国から、日本という小さい島国はたくさんのことを学んだわけですが、我々にはその記憶が鮮明に残っています。

 中国という国、また中国に住んでおられる中国人の持っておるその大きなポテンシャル、賢さ、叡智というものから、日本はこれからも協力し学び続けなくてはいけない。また日本も東アジアの重要な国として、中国と日本、できれば、他の国々も一緒になって、こういう問題を解決する一つの重要な場所として、国連というものがあるんだと思うんですね。

――感染症を前に、中国は「人類衛生健康共同体を共に築きましょう」と呼びかけていますが、中国のこのような姿勢をどう評価しますか。

 こういう中国のイニシアチブは非常に重要なものだし、国連の保健担当の機関として、WHOというのはあるわけですけれども、トランプ大統領時代のアメリカは、WHOについて疑心暗鬼に陥っていたのは非常に不幸なことであったと思います。

 こういう機関がまだまだ力が足りないというのだったら、我々が協力して強くしていけばいいわけなんです。一部の国々のように、国連はこれもやってない、あれもやってないと批判するのは建設的じゃないですよね。だから、結果を見るだけではなくて、それぞれの機関のこれからの可能性を生かすように、みんなで協力し合いながら、相談しながらやっていくという姿勢がとても大事だと思います。そういう意味では、私は中国に大きな期待をかけています。

――まもなく2021年の幕開けです。どのような一年になってほしいとお考えですか。

 世界は今年、コロナに対する姿勢はちょっとバラバラの感があります。お互いに知恵を出し合った面もあれば、歩調が合わなかった面も。2021年にはもう少し互いに学び合う姿勢を正面に出して、学び合いながら対処する。それを国連傘下のWHOの下で行えるならば、こんな良いことはないと思います。国連の様々な機関を活用するという姿勢でやるならば、2022年、また2023年度と、まあ今世紀は非常に実り豊かな、人類共同の世紀になっていく可能性があると思います。中国が世界第二の経済大国として担う大きな責任というものもとても大事ですし、我々はそれを大いに評価しております。日本は比較的小さい国ではあるけれども、経験はある程度持っておりますし、抱負もありますから、国内に閉じこもるのではなくて、アジアの一国、世界の一国としてもう少し積極的にやってほしいなあと私は思っています。

(文:王小燕、写真提供:明石康事務所)

■リスナーさんのお便りから(抜粋)

★静岡県藤枝市 小川 雅也さん
 国連の明石さんのお話がとてもためになりました。インタビューの中で明石さんが何度も「学びあう」ということを言われていましたが、まさにその通りだと思います。最近国連が批判されてはいるが、出来ることは多い とのお話も「なるほどな」と思いました。良いお話を聞けました。

★千葉県 ラジオネーム:ティーティーさん
 これからの時代のグローバルガバナンスのために、明石氏がどのようなお考えを持っているのかが分かりました。「好奇心を持ち続ける」という健康法も興味深いです。

★宮崎県 ラジオネーム D.Dさん
 明石さんはかつて候補者乱立で話題となった東京都知事選挙に出馬で(日本では)知られていますね。来年90歳とは思えない程、今も北京東京フォーラムなど多忙に活躍されているんですね。
 健康の秘訣は散歩、やりたい事が沢山ある、中国の沢山の友人との話が印象的でした。

★坂口 晶子さん
 CRIインタビューで明石さんが話していたように、中国と日本が仲良く協力できればよいですね。日本の若い世代は、マスコミの偏った報道に惑わされず、中国、韓国に対して偏見はあまりないように見受けられます。色々な問題がありますが、お互いを理解しあって思いやり、仲良くできればなと願っています。

★東京都大田区 三輪徳尋さん
 コロナウイルスに象徴されるような人類が共に手を取り合わなければならないような事態はこれからも数多く降りかかるものと思います……日本では、以前から国連に対して、拠出金を多く出しながら、敵国条項の対象国であり、常任理事国にもならないことに不満を持つ人も少なくなく、加えて、このところの米国の政治家による発言に影響されて、世論調査においては、国連に対する支持はかなり低くなっています。国連の組織が担う役割について、多くの人たちが関心をもって、偏った発言に影響されないようになってくれることを願うばかりです。
 今日のインタビューで明石康氏が語った様に、コロナウイルスによって、全世界は政治・経済・社会のそれぞれが未曾有の危機に瀕しているなかで、まず、日本は、長い歴史が示すように、感染抑制に成功した中国から多くの貴重な経験、感染対策など、学ぶことが必要であると思います。
 学ばせていただいた知恵をもって、選挙で当選することばかりを考えた対策ばかりを無理に続けるのではなく、本当に国民が求めている対策を講じて欲しいと思います。そして、同盟国の顔色ばかりを伺った消極的な対応ではなく、中国と共有した多くの情報によって、国際協調にとって大切な行動を積極的に行ってゆかなければならないと思います。

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