【CRI時評】ラテンアメリカ系住民に逆ギレ、米政治家は責任転嫁ゲームをいつまで続けるのか

2020-06-14 10:49  CRI

 「メキシコは、米国での新型コロナウイルス感染症の新たな波に対して責任を負わなければならないとでも言うのか」。メキシコ紙エル・フィナンシエロ(電子版)はこのような嘆きを発している。その背景にあるのは、トランプ米大統領が11日にホワイトハウスで行われた新型コロナウイルス対策本部会議で、米国で感染症の勢いが再び盛り返したのはメキシコからの旅行者のせいであり、「経済再開」とは無関係だと強調したことだ。

 中国から世界保健機関(WHO)に至るまで、欧州連合(EU)からラテンアメリカに至るまで、米国の現政権は、感染症対策が不十分になっていることの責任を転嫁するために、お得意の「手品」を余すところなく演じている。ラテンアメリカ人の「われわれは天国にあまりにも遠く、米国にあまりにも近い」という名言が改めて実証された。

 米国の政治家が今回、隣国メキシコに狙いをつけた主な理由の一つは、米国内の現在の新規感染者の多くがラテンアメリカ系のコミュニティーに集中していることだ。そのためホワイトハウスは、新規感染者はメキシコからの「輸入」に起因するのではないかと疑っている。

 だがメキシコには、「無実を主張する」確かな理由がある。なぜなら、米国とメキシコは今年3月の時点ですでに、不要不急の渡航を相互に制限することに合意しており、人の往来は大幅に減少しているからだ。トランプ氏がメキシコのせいにしているのは、パンデミック危機を利用して移民規制を進めて「一石二鳥」を得るためではないかと、AP通信は急所を突くように指摘している。

 米国で最近、感染者数の大きなリバウンドが現れた原因は複数あるというのが、多くの専門家の見方だ。一つは、5月下旬の戦没将兵追悼記念日の時期に全米で数百万もの人々が遊びに出かけたこと。もう一つは、警察による暴力的な法執行への抗議と人種差別への反対を目的としたデモが全米規模で爆発的に起きたこと。これらが感染拡大のリスクを高めた。

 実際のところ、米国で新型コロナの流行が収拾がつかない段階にまで至ったのは完全に、米国の一部の政治家が、感染症流行の警告を繰り返し無視して防止策を怠ったことによるものだ。米コロンビア大学の研究は、米国の外出制限措置の遅れにより少なくとも3万6000人が犠牲になった可能性を示している。(CRI論説員)

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