北京
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米経済誌『フォーブス』の公式サイトに5月16日、アジア首席経済評論員であるシンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院の王月魂客員研究員による「トランプ大統領の中国批判は、彼の大統領再選に向けた努力を台無しにし得る」と題する論評が掲載されました。その主な内容は以下の通りです。
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トランプ大統領の再選を阻み得る最大の脅威は、失業率の激増だけではなく、失業の痛みを感じる地方にもある。そして、大統領選の激戦区になる「揺れる州(スイング・ステート)」こそが、失業被害の最も大きい地域の一つであることは事実が証明している。
そして注目すべきは、トランプ大統領が中国批判を続けており、「外部の敵」を利用することで国内の問題での政府の失敗に対する有権者の注意を逸らしていることだ。
だが、批判の矛先を中国に向けることは新たなリスクをもたらす可能性がある。トランプ大統領の支持者たちは、米国の4倍以上の人口を持つ中国で、新型コロナウイルスによる死亡者数がなぜ米国よりはるかに少ないのか疑念を抱くだろう。さらには、アメリカで医療・検査設備と防護用品が不足する一方で、中国がなぜこれらを全世界に輸出できているのかと、理解に苦しむかもしれない。
そうして、数カ月後に中国は米国よりも強力な経済回復を果たす可能性がある。その事実をトランプ大統領の公約と照らし合わせた時には、トランプ大統領の支持者たちのさらなる困惑を招くだろう。
やがてトランプ大統領は、中国への対抗という面で何ら進展が無いという事実を隠し通すことができなくなる。それこそが、彼には「アメリカを再び偉大な国に」することはできないのだという証拠となり、その再選を断ち切る要因となり得るだろう。
(hj 謙)