倍返し!北京からマスクを日本に~「中日両国の支援の輪を広げたい」谷岡一幸さんに聞く

2020-04-02 11:14  CRI

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 新型コロナウイルスは世界で猛威を振るい続けています。こんな中、防護用のマスクが今、国境を跨いで人々が寄り添う気持ちと真心を伝えるメッセンジャーになっています。
 1月末、中国での感染急拡大を受け、北京で日本料理店を経営する谷岡一幸さん(46歳、熊本出身)は家族3人で、日本に向かいました。SNSなどを通して、中国への支援を呼びかけたところ、200人余りの有志が答えてくれました。その結果として、2月9日、マスク5万5千枚を含めた防護用の物資550キロを北京に持ち帰りました。
 その後、店の通常営業が実現できない中にも、谷岡さんは「中国支援弁当」と題して出前サービスを始め、売上の10%を継続的な活動展開の原資として積み立ててきました。
 一方、あれからわずか1か月ほどで、新型コロナウイルスを取り巻く状況が一変しました。この間、中国では封じ込め対策に少しずつ成果を収め、3月末までに、最初の震源地だった武漢市を含め、国内での感染経路がほぼ遮断されたとの発表がありました。また、企業の生産再開も進み、マスクなども普通に入手できるようになりました。
 しかし、日本を始め、世界での感染拡大に歯止めがかからず、マスクの品薄状態が日本で続いています。そうした状況を見て、谷岡さんは今度は家族を挙げて、店を挙げて、日本への支援に乗り出しています。
 SNSのWechatなどで店の常連さんや知人たちに呼びかけたところ、「3日で10万枚」という谷岡さん自身も驚くスピードでマスクが集まりました。「日本からいただいたご恩は2倍以上で返そう」というメッセージを添えて寄贈してくれた方も多く、谷岡さんは「涙が溢れるほど嬉しい」と振り返ります。
 「日本から中国へ、そしてまた中国から日本へ」、二つの国で人々の善意と真心を届け合うために奔走している谷岡さん。
 その活動を精力的に支えてくれる人は、奥様の張亜君さんです。
 「日本から持ち帰ったマスクを届けたところ、どの人も本当に喜んでくれた。とりわけ、子ども用マスクが大変重宝されてね。寄贈を受けた人々の笑顔を胸に、日本でお世話になった方たちの御恩に報いたい」と活動に寄せた思いを淡々と話してくれました。
 新型コロナウイルスは人々の暮らしに影を落とし、今も世界に不安が漂っています。谷岡さんが経営する日本料理店でも、2店舗の中の1店舗はまだ開業できておらず、テナント賃料を始め、経営上のプレッシャーという現実的な問題があります。しかし、そうした中でも、人間には困った人を助けたい真心があることを信じて、谷岡さんは今回の活動は「一生の思い出になる」とやりがいを語ります。「人類の歴史は、疫病との戦いの歴史でもある。今回も必ず乗り越えられる、そう信じて皆で力を合わせて頑張ろう」と力強い言葉でインタビューを締めくくりました。

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マスクの寄贈を受けた小学生から谷岡家に届いた感謝の手紙

<谷岡さんのインタビューから>

――中国で新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、多くの支援物資を日本から北京に持ち帰った谷岡さんですが、戻った後の行動を教えてください。

 はい。2月9日に日本から550キロ55000枚のマスクを家族3人で運び込んで、マスクの仕分け作業から寄付活動を含めて約2週間くらいかかりました。武漢の医療施設と北京の医療施設、福祉施設、公安局など約20箇所に寄付しました。配布先の選定の際には、メディアの皆様や医療関係者の方々から情報を集めて、どこでマスクが一番不足しているか、また配送ルートなどの確保も考慮しながら寄付活動を行いました。

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北京市内で物資を届ける谷岡一幸さん(左端)

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小学生の保護者に子ども用マスクを手渡す長男の谷岡将輝さん

――あれから約2か月が過ぎました。この間、中国が行う新型コロナウイルスとの戦いで実感したことは?

 中国政府の感染症対策は、街の隅々まで本当に徹底していますね。政府の方針を社会全体で共有しながら、1日も早くこの病気が収束するために市民一丸となって戦っているように感じています。この点は本当に素晴らしいことですね!弊社のスタッフも自主隔離政策のため、まだ半数以下しか職場復帰できていない状況です。ただ、今は封じ込め対策が最優先ですし、社会機能が本格的に稼働するにはまだまだ時間がかかるとは思いますが、しっかりと継続していくべきだと感じています。

――本業のお店の営業再開は今はどのような状況ですか。

 現在私は、北京で日本料理店を2店舗経営しておりますが、まだ1店舗だけ営業を再開したばかりで、本格的な営業再開はしていない状況です。現在は中国支援弁当を販売しておりまして、収益の10%を寄付する活動を行なっています。お陰様で、お弁当事業については皆様から大変ご好評をいただいており、順調に売上を伸ばしております。

――日本でも感染者が増える中、今は日本を支援する行動を始めたようですが……

 そうです。今回はこれから感染拡大が懸念される日本へ向けて、中国でマスクの寄付活動を始めました。現在日本ではマスクが手に入らず、困っている方がたくさんいらっしゃいます。中国ではマスクが普通に購入できるので、できる限り日本に持ち帰って、もっとも必要となさっている方々に寄付しようと考えています。

 ありがたいことに、活動を始めて3日目で、寄付マスクの数がなんと10万枚を超えました。ウィーチャットなどで友人に呼びかけたら、あっという間に目標を大きく上回る寄付マスクが集まって、びっくりしています。

――SNSでの呼びかけ一つで、力を貸してくれた両国の皆さんにどのような思いを抱いていますか。

 思い返せば、今回私が日本で中国支援活動を呼びかけた時には、正直、賛否両論ありました。中にはごく少数の方ですが、『日本でもマスクが買えないのになんで中国へもっていくんだ!?』という意見もありました。ただ、多くの日本人の皆様から、「今一番大変なのは中国なんだから、私たちができる限り応援しよう!谷岡さん頑張って!」という声に励まされて、支援活動をやり遂げることができたと思います。

 また、今回の中国支援活動に対して、中国人の方々から返信しきれないくらいたくさんの感謝のメッセージをいただいたことは、私の活動の原動力にもなりました。

 そして更に感動したのは、「日本からいただいたご恩は2倍以上で返そう!」と中国の皆様から10万枚を超えるマスクをご寄付いただいたことです。本当に涙が溢れるほど嬉しい言葉でしたね。この活動をやってよかったなと思います。

 「日本から中国へ、そしてまた中国から日本へ」――当初描いていた中日両国の支援の輪を広げる一助となれたことに私自身も嬉しく思います。一生の思い出になると思います。

――最後に。世界の新型コロナウイルスとの戦いは、まだ出口が見えません。今、どのような心構えで日々過ごしていますか。

 今回のコロナウィルスの蔓延で、世界経済は甚大な影響を受けること必至です。感染リスクだけでなく、そうしたことにも不安を感じている国民が数多くいると思います。かくいう私もその一人です。

 でも、答えが出ないことを考えても何も生まれないし、前向きに考えて行動するしかない。今回の経験がきっかけとなって、より素晴らしい社会に変貌できるかもしれないですし。人類の歴史は、疫病との戦いの歴史でもあります。今回も私たちは必ず乗り越えられる、そう信じて皆で力を合わせて頑張りましょう。

【リンク】
 助け合いの心と日本からの善意を届けたい ~「マスク調達旅行」をする谷岡一幸さんに聞く

 

 この番組をお聞きになってのご意見、ご感想をお寄せください。メールアドレスはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040 中国北京市石景山路甲16号中国国際放送局日本語部】もしくは【〒152-8691 東京都目黒郵便局私書箱78号 中国国際放送局東京支局】までにお願いいたします。なお、日本へのマスク支援に関するお問い合わせは、谷岡一幸さん(tanioka1973@hotmail.co.jp)までご連絡ください。

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10月29日放送分
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王小燕