北京
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12月7日と8日、国民的人気歌手・ユゥガンリーが自らプロデュースするミュージカル「昭君出塞(王昭君・西域へ)」がカナダのバンクーバーにある劇場、クイーン・エリザベス・シアターで公演され、成功を収めました。カナダのジャスティン・トルドー首相も公演の成功に祝賀のメッセージを送りました。女性の声で歌う男性歌手として、ユゥガンリーは卓越した喉と容姿で多くの観客を魅了しました。今回の中国メロディーはユゥガンリーの音楽人生と作品をお伝えしましょう。
国境を越え、中国伝統文化を伝える
ユゥガンリーは中国では誰もが知る国民的人気男性歌手で、女形俳優として女性の声で伝統音楽を歌い、その妖艶な舞と、優れた美声は「女性より美しい」という声も聴かれるほどです。
ミュージカル「昭君出塞(王昭君・西域へ)」はユゥガンリーが2015年にプロデュース、ヒロインを演じ、当時音楽界で好評を博しましたが、彼自身はこの作品に満足できませんでした。
中国古代四大美人の一人である王昭君は紀元前1世紀・漢時代の後宮女官でした。しかし絵師に賄賂を渡さなかったことで醜く描かれ、遠い西域に送られてしまった悲劇の美女です。王昭君の悲劇的な生涯を表現するため、ユゥガンリーは創作チームを率いて、2000年前王昭君が西域に向かった線路に沿って3000キロを踏破し、各地の風俗と民謡を収集することに心血を注ぎました。
2019年、数年にわたる創意工夫を加えた「昭君出塞(王昭君・西域へ)」は再び演じられ、中国の音楽界に驚きと喜びをもたらしただけでなく、世界30都市でのワールドツアーも大成功しました。カナダのトルドー首相は自らユゥガンリーに手紙を送り、「これほど美しい芸術作品がカナダの舞台で披露されたことを歓迎する」と、公演が収めた成功に祝賀の意を表しました。芸術は国境を超えます。今回のワールドツアーは世界の多くの人々に中国伝統文化の魅力を伝え、中華文化の使者と讃えられています。
草の根歌手のモデル
ユゥガンリーは1978年に東北地方吉林省の小さな村で生まれ、幼い頃から素晴らしい音楽の才能を見せていました。良い成績で吉林省芸術大学に合格しましたが、家が貧しく高校卒業後は進学できませんでした。17歳で故郷を離れた後は生活にあくせくし、辛苦をなめ尽くします。
しかし、運命の転機は不意にやってきます。当時彼は夢を諦めず、よく小さなバーで唄い、音楽を続けていました。ある日、彼とデュエットする女性歌手が用事で来られなくなり、彼はしかたなく一人で女性と男性の声で歌いました。それが客たちの間で大評判となり、その後も彼は一人で男女混声デュエットができる草の根歌手として活躍し始めます。
2006年、28才になったユゥガンリーは多くの紆余曲折を経て、ようやく音楽活動における黄金期を迎えます。彼は人気テレビ番組「スターへの道」で女装して京劇風の曲「新貴妃酔酒(楊貴妃、酒に酔う)」を歌いました。その優美な姿、泣き訴えるような歌声は「絶世の美女」楊貴妃のように寂しく、もの悲しい生涯を見事に再現し、多くの観客を魅了しました。
逆境を味方に、努力で克服
有名になった後、ユゥガンリーのパフォーマンスは様々な非難を受け始め、「男性なのに女装してどっちつかず、なにが芸術だ」「京劇を真似ているが、踊りの振り付けがこわばっていて、京劇の美しさを全く伝えられていない」
非難を受けたユゥガンリーは弁解こそしませんが、自分の欠点に直面します。しかし批判の中にも納得できる声を聞き入れ、弱点を克服していきました。舞台でしなやかで美しい女性のイメージをうまく表現するため、京劇の女形俳優や舞踊家らに謙虚に教えを請うようになります。しかし、子供の頃から稽古をしている一般の京劇俳優と比べ、ユゥガンリーにはより多くの苦難と涙に耐える日々が続きました。
今年、ユゥガンリーが「昭君出塞(王昭君・西域へ)」で再び主演した時、その素晴らしいパフォーマンスは見た人が文句のつけようのない出来でした。ミュージカルは民族舞踊や京劇、民謡などの要素をうまく融合しますが、特にユゥガンリーの優美な姿、素晴らしい歌声は多くの観客を驚かせてくれます。
番組の中でお送りした曲
1曲目 昭君出塞(王昭君・西域へ)
中国古代四代美人の一人・王昭君の悲劇的な運命を歌い上げました。
2曲目 新貴妃酔酒(楊貴妃、酒に酔う)
「絶世の美女」楊貴妃のように寂しく、もの悲しい生涯を見事に再現しています。
3曲目 梨花颂(梨の花を讃える)
「絶世の美女」楊貴妃を梨の花に例えています。中国語の「梨」と「離れる」の発音は同じで、曲の中の梨の花は楊貴妃と玄宗皇帝が離れ離れになる運命の悲しい結末を表しています。