北京
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昨年後半以来、中国経済については成長への圧力や中米貿易交渉など各種の不確実性が増し、国際資本市場では人民元の後退といった雑音が絶えず聞かれることになった。だが、伝統的な金融大国である英国では、人民元の「銭途(=前途)」が楽観視されている。「フィナンシャル・タイムズ」(電子版)の最新の報道によれば、昨年末にはロンドンでの人民元の取引高が、英ポンド―ユーロの取引額を超えた英中央銀のイングランド銀行によれば、昨年10月における人民元の1日当たり取引額は730億ドルに達した。これは、英国が中国国外における世界最大の人民元取り引きセンターの地位に立ったことを、端的に示すものだ。
2012年、英国金融の中心地であるシティ・オブ・ロンドンは、人民元のオフショア発展センターとなる計画を打ち出した。伝統的な金融大国の先見性と判断力、行動力により、ロンドンが人民元にとって初のオフショアセンターであるシンガポールにとって代わり、ユーロ圏最大の人民元オフショアセンターであるフランクフルトも遥かに引き離し、世界最大の人民元のオフショア金融センターになろうとするものだった。
国際銀行間金融通信協会(SWIFT)によると、昨年12月には人民元取り引きの36%が英国で行われたものだった、フランスとシンガポールでの取引はいずれも6%前後だった。英国大蔵省のまとめによると、2018年1-8月には英両国間の越境人民元業務の取り扱い総額は前年同期比150%増の2500億元で、商品貿易における人民元決済の割合は20%を超えた。
近年来、中英両国は金融分野で新たな措置を立てつづけに実現させている。英国政府は2014年、人民元建て国債を初めて発行した。3年債であり発行額は30億元だった。西側国家が発行した初の人民元建て国債であり、全世界における中国以外での規模最大の発行でもあり、同国債は海外投資家の人気を呼んだ。
中国外部では過去1年近くも中国経済の後退が唱えられているが、2018年に人民元の国際化は安定しつつも加速した。中国人民銀行(中国中央銀)の発表によれば、2018年の人民元建てによる越境決済業務の扱い高は5兆1100億元であり、直接投資についての人民元決済業務の扱い高は2兆6600億元に達した。2018年12月までに、海外投資家の保有する人民元建て債券の総額は1兆5000億元に達し、うち約4割が2018年内の新規投資だった。別の方面に言及するならば、国際通貨基金(IMF)が人民元を特別引出権(SDR)通貨バスケットに組み入れて以来、中国はすでに数十カ国と通貨スワップの協定を結んだ。そして60以上の国と地域は人民元を外貨準備に組み入れた。人民元を決済手段として採用する国と国際企業はますます増えている。
自国の金融市場における人民元が占めるシェアが高まることで、明らかな「利益」を得ている国も多い。英国のジョージ・オズボーン前財務相は、人民元オフショア市場を営むことで、英国には恐らく数十億ポンド規模の税収がもたらされるだろうと予想した。イングランド銀行によるリポートは、昨年はロンドンでの人民元―米ドルの取引額が初めて英ポンド―ユーロの取引額を超えたことで、EU離脱の過程で発生した英ポンドの取引量の減少がある程度緩和され、ロンドンが世界最大の外貨取引センターとしての確固たる地位を維持することに役だったと論じた。
金融市場の開放と人民元の国際化の加速は、中国の新たな一連の改革開放における重要な行動だ。総合的国力と膨大な外貨準備に支えられ、人民元の安定性は絶え間なく強まっており、国際化の見通しは明るい。人民元オフショア市場は中国金融が新たに築いた最前線の「孵卵器」であり、人民元国際化の推進の助けとなる。さらに、「一帯一路」建設を成功させるための重要な後ろ盾であり、現在、そして遠い将来に渡っても中国と関連国が共に享受する歴史的なチャンスをもたらしている。(CRI論説員 王珊珊)