北京
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中国の衛星測位システム「北斗3号」が27日、世界を対象に運用をスタートさせた。これは米国のGPS、ロシアのグロナス、欧州連合(EU)のガリレオに次ぐ、世界第4の衛星測位システムだ。世界に対する中国の貢献がまた一つ増えたことを意味する。
中国は2000年に最初の北斗試験衛星を打ち上げた。この18年間で宇宙へと向かった衛星は試験衛星4基、北斗1号、北斗2号、北斗3号など43基に上る。それらがカバーする範囲は中国本土、アジア・太平洋地域、「一帯一路」沿線、そして全世界へと広がったのだ。
うち、2018年の北斗3号シリーズの発射は最も「密」なものと言え、これまでに計10機のロケットを使って北斗3号衛星43基が打ち上げられている。2018年の中国による打ち上げ回数は36回と、米国(34回)を初めて上回った。米スペースXのイーロン・マスク氏はツイッター上で「中国の宇宙分野における進歩には目を見張るものがある」とつぶやいている。
中国のこうした進歩は容易なものではなかった。2000年から2007年にかけて中国は試験衛星4基(北斗1A~北斗1D)を打ち上げ、構想を現実へと変える長いプロセスを経験した。北斗衛星測位システムの報道官は「世界向けサービスの可用性は平均95%以上、測位精度は10メートル。アジア・太平洋地域の場合は5メートルだ。速度の計測精度は毎秒0.2メートルで時刻補正精度は20ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)」と紹介する。現在、北斗のコア・パーツの輸出先は90を超える国・地域に拡大し、中国はそれらの国・地域にチップやモジュール、ターミナル装置、ソフトウエア、応用・ソリューションプランを提供している。
現在、北斗システムは測量や交通・輸送、海運、農業、林業、牧畜、漁業、国土のモニタリング、資源探査、公共事業など幅広い分野で使われている。一例を挙げると、今年10月に開通した港珠澳大橋は車両の安全走行を維持するために北斗の高精度変形観測システムを採用。北斗に基づく人工知能(AI)搭載車は2019年にも登場する見通しだ。
北斗の大掛かりな応用は、測位チップ、スマートフォン、eコマース、自動運転、スマートシティやその他関連が考えられる分野に産業・経済チェーンを生み出し、中国経済の発展を力強く後押しした。聞くところによると、北斗関連産業に従事する人は50万人を超えたそうだ。中国が独自開発した「北斗チップ」の製造技術は28ナノメートル時代を迎えている。中国の衛星測位システムをめぐる特許出願件数は5万4000件と世界最多を誇り、2020年に北斗3号システムが全面的に構築されれば、中国の関連産業の規模は4000億元を超えると期待される。
1号から3号まで北斗システムの改良が重ねられたこの18年間は、中国が国力を絶え間なく増強し、世界とのつながりを日々強めていった18年間でもあった。北斗が応用範囲を広めるにつれ、北斗の貢献も世界へと拡大した。北斗は世界中のユーザーに精度の高いナビゲーションサービスを提供するのだ。現在、民間航空、海事、移動通信分野の国際組織も北斗を活用している。
中国は2020年までに北斗3号衛星11基と北斗2号衛星1基を打ち上げる予定だ。2035年には北斗を軸に、精度や応用度をレベルアップさせた総合的測位・ナビゲーションシステムを完成させる。中国は宇宙について持つ知識を北斗に凝縮し、世界のためにより正確でスピーディーなサービスを提供する考えだ。(CRI論説員 魯暁冬)