【CRI時評】今十年前のトーマス・フリードマンの論評を読み返せば

　ペンス米副大統領が発表した中国の内外政策への非難演説を聞くと、十年前に米国の作家トーマス・フリードマン^*1氏が『ニューヨークタイムズ』紙に発表した論評『中米この七年』^*2が想起される。

　当時、北京五輪の閉幕式を見たフリードマン氏は、興奮覚めやらぬ様子でこの論評を記している。文中、氏は感慨深げにこう述べている。「彼らが五輪の準備を進めている時、我々は『アルカイダ』対策に勤しんでいた。彼らがグラウンドや地下鉄、空港、道路、スタジアムの質を向上しようとしている時、我々は金属探知機、武装車両と無人探査機のレベルアップをはかっていた」。氏は、その後の七年について、米国は自国の建設に努めるべきだとの考えを述べている。

　残念なことに、それから十年が過ぎ去り、中国が改革開放の旗を掲げ、世界各国と人類の運命共同体の構築について協商、協業、共有の道を歩もうとしている今、米国はなお破壊の道を邁進している。

  これまでの数年、オバマ政権はアフガンとイラクにおける二つの戦争の停戦を宣言したが、その一方でシリアに踏み込み、同時にリビアを破滅させ、更には六十％の艦隊を太平洋に派遣し、太平洋に荒波を立ててきた。

　そして、「米国を再度偉大に」の選挙スローガンでホワイトハウスの主となったトランプ氏は、人類共同の運命と福祉には目もくれず、一年あまりの内にTPP、パリ協定、ユネスコ、国連人権理事会、イラン核合意等の国際協定や国連機関から離脱し、米国の国益を国際ルールや国際協約の上に位置付け、世界の多くの国から反対と非難を受けている。

　トランプ大統領の我儘な振る舞いは続く。数日前にも、彼は米国のFOXTVの生中継インタビューに答えた際、中国人が毎年五千億米弗を持ち出していると非難し、現在の中国は米国が作ったのだと言ってのけた。

　かつて米国務長官を務めたパウエル氏^*3でさえ、中国の発展は米国に沢山のメリットをもたらしたとし、良質で廉価な中国製品が米国民のニーズを満たしてきたと述べ、もう一人の国務長官経験者オルブライト女史^*4もまた、「米国が自ら果たすべき国際的責任を果たせなかった事が中国に台頭の余地を与えたことは客観的事実としても、中国の台頭は中国の歴史と現代中国の国民の奮闘の賜物でもある」と述べているにも関わらずだ。

  十年前と比べると、中国の発展は今勢いを増しに増している。二〇〇八年に中国大陸初の高速鉄道である北京天津都市間高速鉄道の開通後、今ではチベットと寧夏以外の各省、区、市には時速二百粁以上、最高時速三百五十粁以上の動力列車と高速列車が開通している。しかし、トランプ大統領の公約した一兆五千億米弗のインフラプロジェクトは今尚青写真に焼き付けられたままだ。

　二〇一七年、中国の貧困人口は二〇〇八年時点の二億人から三千万人強へと減少しており、中国政府は二〇二〇年までに全国で全面的な貧困人口の撲滅に努めると宣言している。一方で、連邦準備制度理事会（FRB）が今年五月に公表した年度調査報告によれば、四〇％の米国のインタビュイーは緊急時にあっても四〇〇米弗の資金すら用意できず、ローンや資産の売却によりそれを賄わなければならない状況にあるという。

　発展は全ての前提であり、我々は袖捲りをして精を出して行かなければならない。中米両国の国民が皆幸せな日々を送れるようになる為にも。（CRI論説員　呂暁紅）　　　　　　　　　　　

[註釈]

1)   トーマス・フリードマン（Thomas L. Friedman / 1953年7月20日〜）米国のジャーナリスト、コラムニスト。ピューリッツァー賞を三度受賞（国際報道賞、コメンタリー部門等）。

2)   『中米この七年』(The biblical Seven Years)

https://www.nytimes.com/2008/08/27/opinion/27friedman.html

3)   コリン・ルーサー・パウエル（Colin Luther Powell / 1937年4月5日〜）

米国の政治家、軍人（退役陸軍大将）。米第65代国務長官(2001年10月1日〜2005年1月26日)。

4)   マデレーン・コルベル・オルブライト（Madeleine Korbel Albright / 1937年5月15日 〜）米第64代国務長官（1997年〜2001年）。米初の女性国務長官。