北京
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23/19
5日、トランプ米大統領はツイッター上で「フェイクニュース」を非難した。「フェイク」の中身は、長男であるドナルド・トランプ・ジュニアに関する報道だ。トランプ氏はそれを「全部捏造だ」とし、2016年にジュニア氏がトランプタワーで女性ロシア人弁護士と面会したことについて、その目的は政敵の情報の入手にあり、「完全に合法であり、良く使われる政治手法だ」と強調した。
しかし、一年余り前、『ニューヨーク・タイムズ』紙が初めてこの面会について報道した時、ジュニア氏は、それが米国政府が停止していたロシア人児童の養子縁組プロジェクトについて討議していたとの声明を発表しているのだ。更に、彼は国会の非公開公聴会にも出席し、トランプ氏がこの面会について関知しておらず、大統領選には何ら関係がないことを証言している。しかし、この声明から13ヶ月後、トランプ大統領はなぜか自らツイッターでそれが弁護士から政敵に不利な材料を受け取ったことを認めてしまった。これについて、世界最大の政治リスクコンサルティングファームであるユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は、トランプ大統領かジュニア氏のどちらかが嘘をついているのだろうとの推断を行なっている。
米国の中間選挙が近づく中、米司法省のミュラー特別検察官が指揮を執る「ロシアゲート」の捜査がヤマ場を迎えようとしているタイミングで、『ワシントンポスト』やCNN、APなどの米国の主流メディアは5日、トランプ大統領の側近、特にその面会を計画し、関与した長男のジュニア氏に対し、「ロシアゲート」の捜査の手が伸びるのではないかと報じた。
法律の専門家らは、政敵に不利な材料を入手するために外国人と接触したジュニア氏の行動は、米選挙法の関連条項に抵触するものであり、場合によっては「反逆罪」の嫌疑がかけられることになるとする。また、今年の年初、トランプ大統領のブレーンであり、首席戦略官を務めていたスティーブ・バノン氏も、トランプ大統領との決別にあたって、「面会は反逆行為にあたるものだ」とキツく釘を刺している。
面会時のもう一人のキーパーソンである、トランプ氏の選対本部長を務めたポール・マナフォート氏は今、「反逆罪」など、複数の嫌疑により来月に審理を控えており、今まさに苦境にある。本件については、マナフォート氏自身は罪状を認めていないものの、彼のかつてのビジネスパートナーであり、現在検察側証人となっているリック・ゲイツ氏が6日、陪審員に対し、かつてマナフォート氏の指示のもとに銀行口座隠蔽や証券偽造などを幇助したと証言、更に、そのプロセスを詳述している。
トランプ氏は公判開始と前後して、マナフォート氏を擁護するツイートを行い、これはミュラー特別検察官らによる不公正な扱いであるとするとともに、ロシアに通じたとする証拠の存在に疑問を呈し、更にはセッションズ司法長官に対し、ロシアゲートへの捜査を即刻中止するよう求めた。しかし、この発言を受けたホワイトハウスは、大統領のツイートは命令ではなく、本人の考えを述べているだけに過ぎないとする苦しいコメントの発表に追い込まれている。
トランプ氏の「ロシアゲート」捜査に対する反感は、かなり以前からのものだ。「ロシアゲート」の捜査が話題に上る度、彼は毎回のように「魔女狩り」、「デタラメ」など、攻撃的なレッテル貼りをしてきた。米メディアの統計では、今年に入って以来の7ヶ月の間、彼がこうしたレッテルを「貼り付け」た回数は84回にも上るという。
同時に、トランプ氏の元プライベート・ロイヤーであるマイケル・コーエン氏も今、銀行口座や税務詐欺、特に選挙法の関連条項への違反容疑による捜査を受けている。米メディアによれば、FBIの捜査員はコーエン氏の住居やオフィス、ホテルの部屋等で既に録音データの一部を入手しており、そこにはコーエン氏が秘密裏に録音したトランプ氏との会話が録音されているという。録音には、二人が選挙前に元プレイメイトのカレン・マクドゥーガル女史に口止め料を支払い、彼女にトランプ氏との不倫関係について口止めを持ちかける件について話し合う様子が記録されているという。報道は他にも、コーエン氏がミュラー特別検察官のスタッフに対し、トランプ・ジュニア氏のロシアの弁護士との面会は、トランプ氏の承諾を得たものだったことを証言していると伝えている。
自らミュラー氏の捜査に協力すべきか、それともあくまでもミュラー氏の召喚状が届くのを待つのか。「ロシアゲート」の捜査がヤマ場を迎える中、今ニュージャージーのゴルフ場で休暇を楽しむトランプ大統領は苦渋の決断を迫られている。(CRI時評評論員 呂暁紅)