北京
PM2.577
23/19
ここ数日、四ヶ月以上に及ぶ中米貿易の拮抗状態に、ちょっとした変化が現れている。
ブルームバーグが関係筋の情報として伝えるところによれば、ムニューチン米財務長官と劉鶴副総理の代行者が現在中米貿易交渉の再開について非公式に会談を行なっているという。同時に、米国は早ければ8月1日にも中国からの輸入製品160億米ドル分に対して追加関税を課す可能性があるという。他にも報道は、関係筋の話として、米政府は現在2000 億米ドル分の中国製品にこれまで伝えられていた10%を上回る25%の関税を追加することを検討していると伝えている。
一方では中国と交渉するとの情報を発信し、かたや他方では関税の比率をより高く吊り上げるという状況から看取されるのは、米国には本気でこの問題を解決する意思はなく、こうした策を弄することで更なる利益を獲得しようとする考えが明らかである点だ。ホワイトハウスが今回「飴と鞭」を弄する背景には、次の三つの狙いがあると考えられる。
まず、対中貿易戦で何ら成果を獲得できていない状態にトランプ政権が焦りを感じ、更に極端な方法で中国に圧力をかけようとしていることが考えられる。
500億米ドル規模から2000億米ドル規模、果ては全ての中国製品へと、この四ヶ月、トランプ政権は絶えずその比重を高めてきている。だが、これに中国は毅然と報復措置を打ち出したことで、米国自身が追い詰められることになった。この状況において、ロス米商務長官は先頃、「米国は中国の不公平な貿易慣行に更に強い姿勢を示すべきであり、今がその最良のタイミングだ」との発言を行った。計画では、USTRは8月下旬に2000億米ドルの輸入中国製品への追加関税に関する公聴会を開くことになっているが、この公聴会を前に、米側が税率を引き上げの風評を流布したことは、中国に対して課税の実施時期と税率のダブルパンチを与え、中国からより多くの譲歩を引き出そうとするものだろう。
次に、米国内で貿易戦反対の声が強まる中、トランプ政権がその圧力を転嫁しようとしている点が考えられる。7月31日、トランプ氏はフロリダ州の政治集会で演説を行い、かなりの紙幅を割いてその貿易政策について弁解を行なった上で、中国の報復関税によって米国の農民の利益が損なわれていることを認めている。これは、トランプ氏がその強硬な関税政策を実行する中で、空前の政治的圧力を感じていることの表れだ。
目下、米国の多くの大企業がプレッシャーを感じ始めている。例えば、GEは営業コストが3億米ドルから4億米ドル増加するであろうと見積もっており、GMやフォードも年間利益予測を引き下げるようになっている。経済学者らもまた、「最終的には全てのコストが消費者に転嫁される」と警告を行っている。ノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学のジョセフ・E・スティグリッツ教授も先頃論考を発表し、「現在米国は中国との貿易戦に破れる可能性に面している」と論じているほか、共和党に巨額の政治献金を行っている企業主チャールズ・コーク氏もまた、米国が仕掛けた貿易戦が米経済を衰退させる可能性を指摘し、自由貿易と関税政策反対の旗を掲げた運動を起こすとの考えを示している。
政治と経済の二重のプレッシャーの下、ホワイトハウスは7月31日、米国株式市場の取引が始まる直前、中米双方の代表が交渉の再開に向け協議しているとの情報を流布するに至った。これは言わずもがな、株式市場を刺激し、自信を与えようという目論見によるものだろう。
最後の一点は、トランプ政権の目的は中国との貿易赤字の解消だけでなく、中国の発展の道のりを書き換えることにあるという点である。
もし単に貿易赤字問題を解消しようというのであれば、中米双方は取引量の拡大で一歩一歩問題を解決していくことが可能なはずだ。実際に、双方は5月の時点ではワシントンでこの点についてコンセンサスを得ている。しかし、米国はそれから10日後には完全に翻意をみせ、互いのコンセンサスを認めぬ動きを見せた。今回の米国による税率吊り上げによる「脅し」からわかることは、中国の黒字がどれだけ縮小しても、トランプ政権の「食欲」を満足させることはできないという点であり、彼らの真意が中国が米国の要求に従い「構造改革」を進め、中国の発展モデルとその道筋を根本から覆す点にあるという点だ。
全ての主権国家は自らの未来を決める権利を有している。米国が如何に貿易戦を煽ったとしても、中国の発展戦略が変わることなどあり得ないのだ。もし米国が交渉で問題を解決しようと本気で考えているならば、まずは振り上げた拳を収め、誠意を見せることが必要だろう。(CRI論説員 盛玉紅)