河川保護責任者制度ーー「河長制」

2018-05-21 14:13  CRI

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 中国では、水源の汚染問題に対処するため、全国各地で2016年末から全国の河川流域において河長制の導入が始まっています。この河川の河に上長の長の字を書く河長制という制度は、河川に保護責任者を設ける制度で、各クラスの主要指導者幹部が同時に河川や湖沼の水環境総合対策事業の責任者である河長を担当し、それぞれが担当の河川の整備・保護作業を指導する制度で、2017年の末までにすでに25の省で導入されています。この流れの中で任命された河長は水質汚染対策事業をいかに進め、どのような成果を収めているのでしょうか。今回のチャイナビジョンでは、CRI記者と現地の責任者らとのやりとりを中心に、その現状についてお伝えしていきます。

 浙江省湖州市長興県は中国でも有名な江南地区の水源に恵まれた都市で、多くの河川が街中に縦横に展開する地形を有しています。ここ長興県小沈瀆村村民委員会の主任であり、併せて河長の責を担う周麗斌氏は、自らが河長として担当する業務の状況について次のように語ります。

 「毎週、自分が担当する川について、GPSを用いた観測を行っています。最近では、私の担当する流域で汚水が排出される状況はほとんど検出されなくなりましたし、水面に浮遊物が発見されたり、水質が変化した場合でも、直ちに処理できるようになっています」

 周主任は綿密な水質観測を行いながら、その状況をスマートフォンにインストールされた「河長」というアプリに入力していきます。この入力作業に関して、周主任はこのように述べています。

 「私たち河長はカスタマイズされたスマホで作業を進めます。この「河長」アプリには幾つかのモジュールが設置されています。例えば、作業日誌や巡回記録、そして問題のアップロードなどのモジュールが含まれます。もし観測状況に問題がある場合、上級機関への通報が必要なものについては、その状況を直接通報することができ、必要でない時には、村の清掃員や河川工事の従業員に電話をかけて処理してもらうようにしています」

 周麗斌主任は河長制という河川保護責任者制度の最も末端の組織に属する河長です。2016年末に河長制が発足して以来、すでに25の省、直轄市、自治区に導入され、省、市、県、郷という四つのクラスには約32万人の河長が配属されています。

 中国は世界でも水資源の最も乏しい国の一つであると同時に、水の使用量が最も多い国でもあります。にもかかわらず、ここ数年、中国では水資源の汚染が深刻な問題となっており、水資源の生態環境の悪化や水不足などの問題が浮き彫りになりつつあります。こうした問題が顕在化する中、これまでの河川整備作業体制では、環境保護や水利など多くの部門に及び、実際の作業が遅々として進まぬケースが多くみられました。ですが、この河長制の導入後、各クラスの政府の主な指導者幹部が水環境総合対策事業の責任者である河長として命ぜられ、担当の河川や湖沼の整備・保護作業を指導するようになり、その担当責任も明確にされたことで、この問題は解決に向かっています。

 この変化について、全国人民代表大会代表を務める山東省水利局の曹金萍副局長はこう語ります。

 「以前、河川の汚染問題というのは、一つの政府部門の力では解決することが難しい問題でした。河長制が導入されたことを受け、昨年からは『クリーンな川運動』を実施し、目覚ましい成果を収めました。これまで解決できなかった問題、例えば、違法建築物の撤去や川底のモニタリング、汚水排出口の創設などの問題がすべて解決されたのです」

 また、その動きに倣う形で、2018年からは湖や沼の汚染防止の責任を負う「湖長制」の導入が全国で始められています。

 中国で三番目に大きな湖である洞庭湖では、長年にわたる水質改善の努力を経て、その生態環境は大きく変貌を遂げました。洞庭湖の畔で生まれ育った全人代代表、湖南省岳陽市屈原管理区鳳凰村村民委員会の楊莉主任は今回、北京で開かれる第十三次全人代第1回会議に参加するに当たり、わざわざ洞庭湖の水を北京に持参し、湖長制を更に広めていくことを提唱、このシステムの普及に対する大きな期待をアピールします。

 「私は洞庭湖の畔で生まれ育ちました。子供時代の洞庭湖の水はとても清らかで、よく湖の水を汲みに行き、野菜を洗い、洋服の洗濯をしたこともありましたが、その後、湖の汚染が進んでしまいました。ここ数年では、洞庭湖の水質保護に取り組んだことで、湖の水は以前よりもっときれいになりました。私は関連法律、法規を整備することで、湖長制および河長制をしっかりと根づかせたいと提案しました」

 また、国全体の水資源を統括する水利部の陳雷部長は、現在、河川・湖沼を保護していく社会環境がほぼ整ったとの認識を示しています。

 「各クラスの河長による率先した水環境の整備への取り組みを通して、主な問題を解決し、管理メカニズムの健全化を進めます。今後、水利部は河長制と湖長制の推進に力を入れ、今年6月末までに河長制システムの構築を終え、今年の年末までに湖長制についても構築を終える予定です。これは河川に新たないのちを注ぎ、中華民族に更なる幸せをもたらすものとなるだろうと信じています」

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10月29日放送分
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