中国の桜事情と桜ビジネス

2018-05-17 11:45  CRI

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 近年、日本へ花見に繰り出す中国人観光客が年々増加していますが、実は中国にもお花見の名所が数多く存在します。例えば、北京には、北京一の桜の名所と言われる玉淵潭公園があります。公園内には早咲きから遅咲きまで30種余りの桜が植えられており、その数はなんと3000本近くに上ります。

 今北京の人々が毎年のように愛でているこの3000本の桜は、原生のものではありません。この桜の歴史は、今から45年前に当たる1972年の秋、当時の日本の首相であった田中角栄氏が、中日国交正常化の記念として、日本から大山桜の苗木1000本を中国に贈呈したことにその端を発します。当時贈呈されたこの苗木は、その後全国各地に分けられ、1973年、そのうちの180本がこの玉淵潭公園に植えられました。気候も土壌条件も異なる北京の地で桜を栽培し、美しい花を咲かせるまでには、公園側の真摯な姿勢と何代にもわたるスタッフの努力の積み重ねが欠かせませんでした。

 現在の玉淵潭公園の道の両側には、桜の木がずらりと並び、満開の時になると、私たちはまるで桜のトンネルに包まれるような景色を楽しむことができます。ですが、こうした歴史を少しでも知っていると、その桜のトンネルをくぐるとき、ひとしおの感動を覚えずにはいられません。また、この玉淵潭公園では、植えられている桜の種類も多種にわたることから、1カ月ほどにわたって花の姿を楽しむことができ、地元の人々の人気を集めています。

 なお、北京だけでなく、上海にもたくさんの桜の名所があります。中でも人気を集めているのは、上海顧村公園です。上海市で最大の桜の面積を誇るこの公園は、約13万平方メートルの面積の中に28種類の桜が植えられています。中には樹齢50年以上の桜もあり、毎年春には多くの観光客で賑わいます。変わったところでは、上海の名門復旦大学の一角にも、日本から寄贈された桜の木があり、毎年春になると多くの学生が記念写真を撮る姿を目にすることができます。

 ご紹介しておきたいのは、北京や上海のような大都市以外の地方でも名所が数多く存在する点です。例えば、中国の中部、武漢の桜は全国的にも有名です。武漢大学のキャンパス内にある桜を見るために、毎年全国各地から大勢の観光客が押し寄せます。この武漢大学では、1939年ごろから桜が植えられるようになりました。その後、植え替えや寄贈などで規模が拡大し、今では1000本以上にまでその本数を増やしています。それと同時に、花見の時期に訪れる観光客も年々増え続けており、最近ではキャンパスへの入場者数に制限を設ける程になっています。しかし、それでもなお、より多くの人に桜の美しさを届けるため、大学側はインターネットで桜の開花状況の生中継をしたり、ドローンによる空撮映像を配信するなどの工夫をこらしています。

 また、さらに南に下ったところでは、江蘇省無錫市も桜の名所として有名です。江蘇省無錫市にある黿頭渚(げんとうしょ)公園では、桜の栽培面積が約65万平方メートルにも及びます。戦争の歴史を繰り返さないとの願いを込め、1987年から中日両国の市民団体などが桜の苗木を植え続けて30年あまり。現在では、敷地内に約100種類の桜合わせて3万本以上が植えられ、「河津桜」を代表とする早咲きの品種から、「ソメイヨシノ」などの中咲きの品種、遅咲きの品種までが揃っていることから、長い期間にわたってゆっくり桜を楽しむことができます。

 こうした季節に合わせて花を楽しむという習慣は、古くから中国にも存在しました。もちろん、桜を鑑賞する習慣にも比較的長い歴史がありますが、それが一つのブームになったのは、近年のことと思われます。そのブームの中、中国ではここ数年花見人口が急増しており、毎年この季節になると、「さくら」が間違いなくキーワードの一つになります。先ほどご紹介した北京の玉淵潭公園では、毎年「桜祭り」が行われ、今年でなんと30回目を迎えるまでになっています。そして、ここ数年、花見に訪れる観光客数は毎年100万人を数え、今年は180万人を突破するとの予想すら出されています。

 また、上海の顧村公園でも「桜祭り」が開催されています。今年は3月16日から始まりましたが、初日だけで18万人が訪れたそうです。また、武漢大学では、ゆっくりと花見をしてもらうために、2016年から人数の入場制限を設けるようになりました。今年の場合、平日は1日1万5000人まで、週末は1日3万人まで入場可能なのですが、それでもチケットの予約は難しいとのことで、人気の高さが伺えます。

 また、ここでご紹介したいのは、こうして年々花見人口が増えている中国では、なんと桜自体が大きな経済効果も生み出すようになっているという点です。

 全国各地から観光客が花見に集うという点では、桜が観光産業に大きく貢献していると言える部分がもちろん存在しますし、想像に難くないところですが、なんと観光以外の分野で経済効果の恩恵を受けている分野として、食品分野が注目されているのです。今年の武漢大学周辺のコンビニでは、桜にちなんだお菓子やデザート、飲み物などが目立つようになりました。販売員によりますと、花見の時期に出される商品の売れ行きは非常に良いということです。特に、80年代生まれから90年代生まれの人に人気があり、即完売することも珍しくないと言います。今後は、このような桜をモチーフとした周辺グッズの関連産業が成長するのではないかとさえ言われています。

 経済効果すらもたらすようになった花見文化ですが、中国での「桜」の市場規模の推測額は、一千億元以上だと言われています。この数値は、2015年に行われた中国の桜産業の現状と未来に関する座談会で専門家が述べたものです。観光産業についていえば、2014年の全国の花見に関する観光客数は延べ1億2300万人、収入は152億元に上り、毎年増えているほか、特に桜関連の商品を生産する企業に関しても、2012年には200社あまりだったものが、2014年には3000社以上にまで増えています。さらに桜の苗木の取引量も年々増え、2016年には桜は種苗市場で最も注目される品目になりました。そして、桜ブームで植樹が増えたことから、造園工事や剪定業などの需要も増え、関連産業に大きな活気をもたらしています。こうして現実に生み出されている経済効果から、今後、中国における桜市場は急速に成長すると見込まれるようになっています。そして、桜市場には多くのビジネスチャンスが見込まれることから、桜の大国である日本の企業との提携などにも関心が集まるようになっています。

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10月29日放送分
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