北京
PM2.577
23/19
今年は中日国交正常化45周年です。この記念すべき年を迎えるに当たり、中国国際放送局は特別企画「国交正常化45年の歩みーあの日、その時」を毎週土曜日にお送りしています。
今日は、中国の読者たちの心を打った日本の本をご紹介します。お相手は藍暁芹です。
中国での日本のベストセラーと言えば、黒柳徹子さんの「窓ぎわのトットちゃん」です。中国語のタイトルは直訳で「窗边的小豆豆」です。
これは、黒柳徹子さんによる自伝的物語で、小学生時代に通学していたトモエ学園のことを記しています。トモエ学園のユニークで子供たちの個性を尊重する教育方針やすべての生徒を優しく扱う校長先生の話は読者に感動を与えてくれます。
今年の5月で、中国での発行部数は1000万部を突破しました。この本の中国語版を出版した会社「新経典文化」は、「『窓ぎわのトットちゃん』の中国語版は2003年に発売されてから、10年連続で中国の全国販売ランキング、子供が愛読する本のトップ5に入っている。1000万冊の本を積み上げると、その高さはエベレスト17個分にもなる」と話しています。
児童文学作家の伍美珍さんは、「『窓ぎわのトットちゃん』は、とても素朴なのにたくさんの読者を引き付けてきた理由は、内容がノンフィクションである上に、誠実さが感じられることにある」と評価しています。
また、ある読者は「今、トモエ学園は存在しないが、トモエ学園の教育方法は不思議なもので驚いた。子供の天性を尊重し、勉強を導いていく。子供を信用してあげて、本当の愛をあげるべきだ。悪い子供はこの世にいない。ふさわしくない教育があるだけだ」と感想を語っています。
実は、中国ではトモエ学園にあこがれて、トモエ学園と名づけた私立幼稚園がいくつもあります。中には子供教育の有名人・李躍児さんが創設した芭学園は、子供の個性を尊重して、砂や水、木など自然を遊びの道具にするのが特徴です。その名前はトモエ学園の中国語と同じため、多くの中国人に親しまれています。
続いて紹介するのは、金子みすずさんの「童謡集」です。金子みすずさんは、大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本の童謡詩人です。26歳で亡くなるまでに500編余りの詩を綴ったとされています。
私が日本語を勉強して日本の文学に触れたとき、すぐに金子みすずさんの詩に魅了されました。特に「私と小鳥と鈴と」の詩の最後の一句「みんなちがって、みんないい」はよく引用され、心に残る言葉です。
中国では親同士の情報交換はウィーチャットを使っています。私とほぼ同じ時期に子供を生んだ全国各地の女性40人余りが、小学校3年生の子供の子育てや学校の教育、読書などについて話しあっています。最近、話題になったのが、金子みすずさんの詩です。四川省の成都や福建省のアモイ、広東省の広州に住む女性は、学校の先生や友達から薦められて金子みすずさんの詩集の中国語版を買い、子供と一緒に読んでいるそうです。アモイに住む女性は、「数日前、たくさんの本を買った。息子は、金子みすずさんの詩集を特に気に入った。これまでに漫画ばかり読んでいた息子は毎晩、声を出して、金子みすずさんの詩を読んでいる。それでも気が済まないようで詩集を学校まで持って行った」と言っています。
実は、去年、中国の女性歌手・程璧さんは、「私と小鳥と鈴と」というタイトルの全国巡回ステージを行いました。金子みすずさんの詩を歌詞にして何曲も歌い、中国の人々に届けました。
次の本は、「はなちゃんのみそ汁」という作品です。内容はというと、小学3年生の「はなちゃん」は毎朝みそ汁を作っています。これは5歳の誕生日からの日課。「食べることは生きること。1人でも生きられる力を身につけて」と、33歳で亡くなった母・千恵さんと約束したからというものです。中国語のタイトルは「会做饭的孩子走到哪里都能活下去」、「ご飯を作ることができる子供はどこに行っても生きられる」です。この本は2014年に中国で出版されました。その頃は、一人っ子政策で育った子供たちはかわいがられ過ぎるあまり、一部の子供が大学生になっても自分の面倒を見ることができない中国社会に、衝撃を与えました。親はいつまでも、ずっと子供のそばにいることはできません。「子供に何を残せますか?」ということを考えさせる一冊です。
もう一冊、生きていく勇気を与えてくれたのは、島田洋七さんの「佐賀のがばいばあちゃん」。中国語のタイトルは、「佐贺的超级阿嬷」です。戦後の動乱期、広島に暮らしていた作者は、佐賀のおばあちゃんの家に送られ、一緒に暮らすようになりました。おばあちゃんの家は想像以上に貧乏でしたが、奇想天外なアイデアを持って、逞しく生きています。
中国の読者は「苦境の中で生まれた知恵や生活に対する明るい態度は、挫折に遭った人々を大いに慰めた」、「おばあちゃんは、貧しい家に笑い声と温かさを満たせた。幼い主人公に幸せの真の意味を分からせた」、などの感想をネットに書き込みました。
以上の4冊のほかに、村上春樹さんや東野圭吾さんの作品も中国では人気があります。また、家の整頓整理に関する本、山下英子さんの「断捨離」、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片付けの魔法」なども多くの中国の読者に読まれています。
このように中国の人々は、日本人と直接話すことはなくても、日本人の考え方や日本人が感じたことなどを知り、理解を深めています。それは、国境を越え、言葉の壁を乗り越えた本の力だと言えます。
特別企画「国交正常化45年の歩み―あの日、その時」、今日は中国で人気のある日本の本を紹介しました。では、歌手程璧さんの歌「私と小鳥と鈴と」をお聞きしながらお別れしましょう。お相手は藍暁芹でした。
(程璧さんの「私と小鳥と鈴と」)
ギャラリー