水があったことで、これまで月に一回しかシャワーを浴びることができなかったのは、いまでは毎日できるようになり、それに、男たちは昔、毎日水汲みに時間をとられるどこへも出かけることができませんでしたが、いまは出稼ぎに行ってもかまわなくなりました。
「これまでは、彼は毎日水汲みで忙しく、どこへもいけませんでしたが、いまは穴蔵があって、水の問題が大体解決されましたから、彼も出稼ぎに行けます」
「母なる水の穴蔵」は、地面に20から30立方メートルの穴蔵を掘り、そしてその壁と底にセメントを塗って出来上がります。穴蔵の外に、数十平方メートルの地面に斜面を作ってセメントを塗り、雨がそれに沿って穴蔵の中に流れるようにします。
穴蔵は口が小さく、水が容易に蒸発しないため、たまった雨水を長く置いておくことができます。30立方メートルの穴蔵は三人家族や五人家族の飲料水を解決できます。穴蔵は西部の水不足地区で安くて便利な貯水の方法とされます。寧夏ホイ族自治区の隣にある甘粛省東郷県は山間部にあるため、住民の暮らしは李涛涛ちゃんの村よりも大変です。水汲みは、10数キロ余り離れた劉家峡ダムに行かなければなりません。
ここを視察した中国婦女発展基金の秦国英副事務局長はこのようなことに出会ったそうです。
「農家の家を訪ねたとき、持っていたほんの僅かな水を持ち出して飲ませてくださいました。そして、それを見たその家のお子さんも水を飲もうとして、うっかりしてコップをひっくり返してしまいました。それでお母さんが殴ろうとしましたが、それにかまわず、その子供は机の上にうつぶせになり流れ出した水を急いで吸っていました。これを見て、悲しい思いをしました」
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