受験生は石景山区全域から来ているので、家が離れたところにある生徒も少なくありません。門頭溝に住む高さんは、夫婦そろって娘の送迎に来ています。タクシーに乗っても40分かかるため、朝7時半に家を出ました。2人がそれぞれ背負った重そうなかばんの中は、娘の傘、雨靴、飲み物、座布団などでいっぱいになっていました。
「娘にとって、会場となった学校は初めての場所なので、きっと心細いだろうと思う。よく知らないところでも、私たちがすぐそばで応援しているので、落ち着いて試験に集中してほしい。来ているだけでもきっと良い励ましになっている」と高さん夫婦が言いました。
2日続けて、朝から午後の試験科目が終了するまで、娘を待ち続けていた高さんは、退屈になりそうな待ち時間を、同じように受験生の子を待つ親と四方山話をしていたので、あっという間に終わったといいます。
同じく門頭溝に住んでいる陳さん(写真左)も娘の送迎に来ました。高さんとは初対面でしたが、子供の話ですぐに打ち解けました。
「会社には、受験生の親は10日ほど休暇が取れるようになっている」という陳さんは、昼休み、娘がゆっくり休めるよう、3時間で80元(およそ1200円)する近くのホテルに部屋を取りました。しかし、昼休みが終わればチェックアウトしなければならず、雨に降られても、木の下や近くの飲食店で雨宿りをしていただけのようです。
「私は高校しか出ていない。親族の中でも、大学受験をするのは、娘が初めてだ。昨日、教室の窓が開けたままだったから寒かったと娘が言っていたので、夜、私は娘のために教室に入り、窓を閉めてあげた夢を見てしまったわ」
陳さんはそう言いながら、はるか空の遠くから微かに聞こえてきた雷の音に、不安そうな表情を見せました。
「今日の午後は英語のヒヤリングがあるので、雷の音が大きいと一番困る。録音がはっきり聞き取れないと試験の点数に影響する」
そう語る陳さんの顔を見ると、本当に真剣そのもの。冗談のかけらも見られませんでした。
試験開始前の取材を終えて京源学校を去る前に、学校の前の道路で、パトカーに乗っているお巡りさんに出会いました。校門の両側に約100メートルの範囲が黄色い警戒線で囲まれていたので、そのわけを聞いてみました。
「午後はヒヤリングの試験なので、交通規制を行った。車が通過すると、地響きや騒音などで受験生の集中力に影響するためだ」ということでした。
受験生を思う心は、親と"お天道様"だけでなく、社会全体にまで広がっているようです。
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