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経済学者・竹中平蔵さん~Part2

2012-05-17 16:53:16     cri    

 「私はふるさとが大好きです」
 そう語る竹中さんの顔は今まで見たことのないほどリラックスしていました。非常にやさしい笑顔でした。
 「和歌山という紀の川の三角州に広がった城下町で、日本の地方都市を絵に書いたようなところです」。
 高校卒業する18歳までここで過ごし、大学進学で上京。いまは、「高齢になった両親を東京に引き取ったので、故郷に帰る機会はそう多くはない」。が、高校時代の同級生だった県知事から「故郷納税」が薦められ、「ここ数年はわずかではありますが、故郷に貢献している」と誇らしげに語っていました。
 小学校の時は「目立たない野球少年」で、「商店街で小さな商売をしている父親が身近にいる憧れの存在」でした。
 「父親は教育を受けたこともなく、もちろん大学卒でもない。しかし、本を読んで、いろんなことを教えてくれた。そんな家族を支えていた父親は非常に男らしく見えた」
 勉強は小学校高学年になってからやっとするようになったが、将来について具体的な夢があるわけでもなく、「皆のために(For The Public)」とぼんやりとしか考えていなかったようです。
 高校に入り、社会科の教師に「皆のために仕事をしたい」と聞いたら、薦められたのは「経済、政治、法律など社会の基本的なことの勉強」でした。後に、大学で経済学を専攻したきっかけになったといいます。
 そんな竹中さんに、経済そのもの、政治そのものに対する考えを聞きました。


























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■役立つ経済学を 自由こそ最大の価値

――経済学を専攻したのは、高校の社会科の先生の影響だったとおっしゃいました。

 そうです。「キタウチ先生」というたいへん立派な先生で、後に校長になりました。
 私が50歳で大臣になった時、先生から応援の手紙が届き、「頑張れ。世の中の役に立て」と書てありました。すごく嬉しかったです。

――経済学において、一番憧れていた人は?

 池田勇人首相のアドバイザーで、所得倍増計画の実質的な作成者の下村治さんです。経済学を学問としてだけでなく、実際に役立てた人だからです。
 大学卒業後、22歳の私は、当時下村さんがいた日本開発銀行に入社し、とても嬉しかったです。ある時、下村さんは新人と議論する時間を作ってくれました。様々な質問を用意していきましたが、何を聞いても跳ね返されてしまいました。そういう経験をして、役に立つ経済と経済学に対する憧れがますます強くなったわけです。

――「経済」という学問の究極の目的をどう考えていますか?

 それは、人間の短い人生をできるだけ自由に生きられる環境を作ることだと思うんです。私は、自由こそ最大の価値だと思います。もちろん、ほかの人の自由を奪ってはいけない。色んな人が自由に生きるのを調整する仕組みをつくるのが社会なのです。

■ 格差を飲み込んで社会全体の豊かさを

――竹中さんは最長在任期間の国務大臣として政府で仕事をしていました。振り返ってみて、ご自分の仕事により、日本の国民は以前よりは少しは自由になれたと思いますか。

 自分の評価は、自分で行うものではなく、人が評価すべきものだと思います。ただ、私は、小泉さんという���ーダーは類まれなリーダーだったと思いますし、その下で自分の考える政策を遂行させてもらった。しかし、約6年間政府の中にいましたが、一つのことを実現しようと思ったら、やっぱり最低は2年かかると思います。新しく一つのことをやろうと思ったら、最低2年はかかることを忘れずに、続けていくことが非常に大事だと思います。

――竹中さんが在任中、「聖域無き改革』を推進し、経済面では2003年に28兆円あった基礎的な財政収支の赤字を2006年に6兆円に減らすことができました。しかし、他方では、改革によって、格差社会を広げたと批判も浴びています。

 たいへん興味深い批判だと思う。実はその後、政府の調査では、格差が拡大していなかったということがわかった。格差は世界中で90年頃から広がっているんです。日本でも格差が広がってきた。しかし、小泉内閣のとき、格差の拡大が止まった。それにもかかわらず、データに基づかないでどうして、批判するのだろう。私は大きな関心を思っています。
 結局、既得権益者は非常に改革を憎んでいる。彼らが改革をつぶすために、こういう政治的なキャンペーンがあったのです。それに対して、一部の無知なマスコミがそれに乗っかったということです。

――適度な格差は、社会や経済の前進にプラスに働くという見方もありますが、竹中さんは「格差」をどう捉え、人々の「格差感」にどう対処すればよいと考えますか。

 これについて、イギリスのサッチャー首相がうまい事実を示唆したと思います。「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」。
 格差論の本質というのは、かならず成功者をねたみ、嫉(そね)み、その足をひっぱっることです。
 格差はないほうが良い。格差をなくす工夫は依然として必要です。しかし、それでも格差は絶対になくならないし、そういう格差があるということを飲み込んで、社会全体を豊かにしていきましょうと、そうすることが結局、全員の幸せにつながりますよ、ということをリーダーがきちんと国民の前で話す必要があります。
 同じくイギリスの政治家のチャーチル氏の言葉に、「成長はすべての矛盾を覆い隠す」というのがあります。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の頃、日本は当時の先進工業国の中で、もっとも所得格差の大きな国だったのです。結局、日本は高度成長期に、「一億総中流」という意識を持ちましたけど、それは日本の長い歴史の中で、ごく短い期間です。あとは、日本にはかなり大きな格差があった。そのことはどの国でもそうですけれど、日本の経済の事情として、認識をすべき重要なことだと思います。

――振り返ってみて、竹中さんが政府にいた頃、もっと強化したほうが良いと思ったことは?

 一つのことやろうと思ったら2年かかりますから、できなかったことが圧倒的に多いです。その中で、敢えて次の内閣にやってほしかったことを一つ申し上げるとすれば、それは、「日本版オランダ革命」だと思っています。
 オランダには正規雇用と非正規雇用の区別はない。同一労働、同一条件です。みな医療保険と年金に入れるし、待遇も同じにする。そういうのを日本で実現してほしかった。
 いまの日本の「格差」は競争から来たものというよりは、正規労働と非正規労働とで最初から分かれている。そういう制度的な格差をなくすことは、どの内閣になっても、是非やらなければいけないことだと思います。

■日本の豊かさは教育にかかっている 自助自立の精神も

――少子高齢化になり、人口減少時代に向かっていく日本が今後、求めるべきアイデンティティや理想像はどう描けば良いとお考えですか。

 私はやはり原点に立ち戻って、人々が自由に自分の生き方を追求でき、その自由を満たしてあげる社会にすることが、最大の経済政策だと思います。それはつまり、規制を緩和すること。それが、結果的に経済を成長させることにもなります。
 それから、日本を豊かにするのは、教育しかない。自然資源のない、小さな島国で1億2000万人の人が世界最高の生活水準になったのは、一にも二にも人間の力だったのです。その教育の力がここ10~20年の間、残念だけど、相対的に見て劣ってきたと思います。
 中国もベトナムも日本と同じように、成長して経済が豊かになる権利があります。そういう中で、日本が生きていく道というのは、やはり更に教育を高めていくこと、それしか方法はありません。
 そして、何よりも「自助自立」の原則を家庭教育から強調することです。

――自由に生きたい理念は素敵なことですが、自由に生きる力のない人たちへのセーフティネットをどうお考えですか。

 一般的に日本のセーフティネットが不備だと言われていますが、それも数字を見ると、その認識は間違っていると思うんです。
 GDPに占める年金の支払額を見ると、日本の比率はすでにOECDの平均、つまり先進国の平均を超えています。ただし、日本の社会保障の中で、圧倒的に見落とししているところが一つあるんです。それは若い世代に対する社会福祉です。若い世帯などに政策として使う予算は、GDP比で見ると、日本は欧州の3分1から5分の1しかないんです。
 今の日本の消費税引き上げ論議は、消費税を引き上げて高齢者の年金と医療に使おうとしているんですが、それは間違っていると思います。それよりも若い世代への社会保障にお金を回さなければいけない。
 高齢者のことは、高齢者の中で再配分をすればよい。今この瞬間、経団連の団長に日本の政府は年金を支払っているんですよ。そういうのをやめて、それを貧しい老人にまわしたらいい。その代わり、若い世代にもう負担させない。そういう思い切ったことを提案する、それが政治のリーダーです。そういうリーダーが生まれてこないといけないと思います。  

 (つづく)

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