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中日合作映画「東京に来たばかり」 制作陣の皆さん その1)

2012-03-26 14:25:33     cri    

 囲碁の交流を通して結ばれた中日両国の人々の絆を描いた映画、「東京に来たばかり」(蒋欽民監督)が23日から中国全土の映画館で公開されています。この映画には、日本のベテラン女優の倍賞千恵子さんや中国人若手男優の秦昊(チン・ハオ)など、日本と中国の映画人が参加しています。「未完の対決」(1982年)、「呉清源」(2007年)に続き、囲碁で結ばれる両国の絆をテーマにした3作目の映画となります。
 先日、北京で行われたプレミア上映会に蒋監督のほか、倍賞千恵子さん、中泉英雄さん、秦昊(チン・ハオ)さん、張鈞甯(チャン・チュンニン)さんなど主な役者が顔がそろえました。この映画の制作や出演にこめた思い、撮影中のエピソードなどについて話を聞きました。

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蒋欽民(ジャン・チンミン)監督  
日本に対する深い思いを映画に込める


蒋欽民(ジャン・チンミン)監督

――この映画には監督自身の日本体験も織り込まれていると聞いています。

 そうですね。例えば、映画に出てきたカプセルホテルは、私がバイトをしていたホテルでした。20年前に、自分が日本に行ったばかりの時に受けたインパクトを映画で再現してみました。
 台本は、92年、私が東京に行ったばかりの時に書き始めたもので、映画化までには幾たびも挫折を味わいました。こうやって映画になるまでに20年あまりの月日がかかりました。

――クランクインは昨年5月半ばだったようですね。

 はい。東日本大震災が起きてまだ2ヶ月しか経っていません。余震が相次ぎ、ロケ予定地やそこに行く途中に、地震の爪あとがまざまざと残されていました。それ以前に、大震災の影響で一部の役者が参加できなくなったりして、代役を探すことに追われていました。
 後で知ったことですが、ロケ中にマグニチュード3以上の地震が600回も起きていました。道理で、ファインダーの中の画面がずっと揺れていたなと思いました。出来上がった作品をよく見てもらいますと、至るところに大震災の痕跡が残されています。雨が多かったことや、東京の町が暗くなったこと(そのため、夜景の撮影は一番最後にした)、また映画にずっと漂っていた淡い悲しみもそうでした。振り返ると、耐えられない思い出も多いですが、そういう映画以外のことにも心打たれました。

――大震災が起きたにもかかわらず、予定は変更しなかったのですね。

 大震災の直後は、日本にとって一番大変だった時期でした。急いで帰国した中国人も多かったんですが、私にはその時自分に言い聞かせた信念があります。それは、「私は日本から離れない。ここは安全なのだ」です。
 「東京に来たばかり」の撮影チームは大震災後、日本で映画を撮影した初めての外国撮影チームなので、NHKは4回も取材に来てくれ、英語で放送するチャンネルで紹介してくれました。私たちの勇気が「日本に対する支持と励ましだ」と報道していました。

 
蒋監督を取り上げた「朝日新聞」の記事

――主役に倍賞千恵子さんを起用しました。

 私は若い時から倍賞さんのファンでした。倍賞千恵子さんがこの映画で演じる「五十嵐さん」は野菜を担いで、東京に売りに行く行商のおばさんでありながら、実は、囲碁界で名を轟かせた名人でもありました。この両者の間をスムーズに切り替えることができ、「庶民」と「貴族」の気質を持ち合わせる方をイメージしていました。それで考えますと、倍賞さんの顔がぴったりだと思いました。倍賞千恵子さんなら間違いない!そう思ってお願いすることにしました。

――蒋監督は今村昌平監督の日本映画学校に留学し、日本映画からも様々な影響を受けていると思いますか?

 特定の監督の真似を意図的にしたことはないですが、日本映画を数多く見ていましたし、その影響はごく自然に受けているように思います。
 今村昌平先生は、私がたいへん尊敬している師匠です。私が日本に行ってから作った最初の映画「戦場に咲く花」(原題:「葵花劫」)を完成後、母校にもって帰り、先生に見ていただくチャンスがありました。その時の今村先生はもう健康が損なわれていて歩けなくなっていましたが、上映終了後、「先生のご批判をお待ちしています」と耳を傾けると、「もう一度見たい映画ですね」と言ってくれました。私にとって、最高のほめ言葉でした。

――最後に、この映画に込めた思い、そして、映画を通じて、どのような「日本」を中国の観客に伝えようとしたか聞かせてください。

 「東京に来たばかり」は人間同士の相互理解を取り上げた映画です。そこには、自分が長く滞在していた日本にまつわる強い思いをこめています。
 映画には、東京と地方、祖母と孫、留学生や外国人滞在者など、日本社会の特徴が映し出されるものを取り込んでみました。日本を謳歌するというよりも、ありのままに描きだせたらと心がけました。
 個々の日本への見方は映画を見た後、各自の判断に委ねればと思っていますが、中日国交正常化40年ということを背景に、ありのままの日本のリアリティを伝えることができればと思っています。
 倍賞千恵子さんもおっしゃいましたが、中国と日本は隣国なので、お互いの理解をもっと簡単で、分かりやすいものにすればよいのでは、これが私の願いでもあります。

(聞き手・整理:王小燕)

 蒋欽民監督【プロフィール】

 1986年             湖南財経大学卒業後、潇湘映画制作所文学部に入社
 1987年             北京電影学院文学部で研修を受ける
 1988年~            多数のドラマを演出するかたわら多数の脚本を執筆
 1992年          日本へ
 1994年~1997年     日本映画学院監督コースで学ぶ
 1997年~2000年     日本大学芸術学部で映画学修士を取得
 2000年           中日合作映画「戦場に咲く花」(現題「葵花劫」)を演出
 2002年         「天上の恋人」で第15回東京国際映画祭コンペティションで最優秀芸術貢献賞
 2004年               「東京に来たばかり」の撮影準備を開始
 2007年               「純愛」がモナコ国際映画祭でANGEL FILM AWARD最多5部門を入賞
 2012年                「東京に来たばかり」封切り、第7回大阪アジアン映画祭で「サプライズ上映」

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