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2つのエネルギー、両国民にしかできないことをーー日中親善大使・関口知宏さん(下)

2012-02-27 16:18:47     cri    










 ■熱烈なエネルギーと静かなるエネルギーの融合へ

 ――今回で中国は何度目でしょうか。親善大使にどのような印象をお持ちですか。

 回数にすると3回目になっちゃうんですけれど、一回目が非常に長かったので、行った場所で言ったら何箇所かも分からないぐらい行きました。中国の人よりも中国を旅しちゃったんですもんね。

 そしてついに今度は日中の親善大使と来たわけですから。いいんでしょうか私でという不安もありますけど、運命も感じます。僕は今年同じ40歳ですし、日中国交回復から40周年ですから。だからなんか大事な仕事があるんでしょうね。今になってみると、あの鉄道の旅をしてた時に、それがこんなふうに親善大使までに発展するんだと普通思うじゃないですか。でも逆の思いがあるんです。あの鉄道の旅は今から振り返ると、このためだったのかという、「これは後に何か仕事があるから、この旅をしてるんだな」と思っていたので、ここまで発展したかと思いもありますし、今までのその中国の旅の体験は、この時のためにあったんだから、なんか覚悟して仕事しなきゃなという思いもあります。

 ――不安とは具体的にどんなものですか?

 「時が訪れたけど、ちゃんと準備できてんのかなオレ」という不安です。準備が足りないんだったら、今から慌てて準備しないといけないですから。でもとにかく頑張ります。運命的な仕事だなと思っています。

 ――親善大使に任命された時、「違った気質の両国の人が一緒に何かをしたときの面白さを見たい」と言っていましたが、それぞれの気質とは何でしょうか。

 例えば、今日本の悪いことを言いましたけれども、良さの裏返しでもありまして。中国の人ほど「うわぁ~」っというほどの熱烈な歓迎はしないかもしれないですが、人には迷惑をかけない親切みたいなことと、中国の人や外国の人が日本に持つイメージ、日本文化というのは、切っても切れないものなんですね。ですから、例えば日本人が、一人ひとりが持っているエネルギーをもう一回思い出すためは、中国の人と付き合わないと思い出せないなと思っているんです。中国の人から、もらうもの。じゃ日本人が中国の人にあげられるものは何だと考えた時に、僕が思うのは、静かなるエネルギーということなんです。静かなエネルギーって何?ということなんですが、日本は資源がない上に海に囲まれているので、なかったら他から持ってくればいいやというのは、できない国だったんですね。ですから、日本の工業力だとか技術力というのは、見える外のものから持ってこないで、見えない自分の心の中から知恵というものを出して、つくってきたものだから、こんなに質が高いんです。ですから、もし日本人がエネルギーを中国の方からもう1回もらうとしても、多分それは静かなる闘志のエネルギーで、またそういう技術力だとか言う事になっていくと思うんです。今はその世界が、これからはもうどっかから持ってこようにもできない状況になってきてますよね。中国も大変ですね。10億人もいるのに、みんな景気が上がってきてますから。私が中国の政府だったら、もうどうしようコレと思いますよ。そんな時に絶対、中国ほど資源がある国だって、人間の資源というか、知恵という資源を使わなければいけない日が必ず来ますから、その時に日本はそれを提供できると思います。でもその前に中国の人から、エネルギーをもう1回もらわないと。だからそういう意味ですごく日中関係は、日中にとどまらなく、本当の意味で、大変な重要なものになっていく、その手前というか、それをつくる一端をこの仕事で担ったなっていう覚悟というか、重責があります。

 ■日本人と中国人しかできないことを

 ――両国国民が相手国に対する好感度は20%台にとどまっていますが、これに対してどのように思われますか。

 僕は、「そりゃそうだろうな」という思いもあります。いろんな国に行きましたけど、日本人って詳しいんですよ。例えばイタリア料理も日本で食べたほうが美味しいですよ。だけど不思議なことに、世界のものをこれだけ取り入れた国なのに、僕が中国でお世話になったあの人たちのすごいエネルギーの親切さも、あの旅を見て初めて知ったという人が多かったぐらいなんです。ですから、近い国というのは意外と知らないことが多いのかもしれません。中国の人もまだまだ知らない日本があるわけですよね。それをなんか、どういう形か分からないけど、この親善大使はこれから青少年の交流とかに携わるわけですから、その知らない者どうしが、知っていく過程も見れるし、知った後どうするのか、あと日本人と中国人にしかできないというのは、どんなものが出てくるのかというのを、すごく見たいです。もちろん傍観していないで自分がそれを提案していったり、一緒にやっていかないといけないんですけれども、僕もどうなるのか分かりません。でも、重要なことは間違いない。それからその好感度も、そんなものはそういう努力をした後は、どうでもいいものにならなきゃいけないですね。20%なんてものについてはそう思います。

 ――親善大使として、どのような役割を果たしたいと思ってますか。また、今年の目標はなんでしょうか。

 それこそさっきの20%の話じゃないけれど、「え~20%信じられない」という人にもならず、「そりゃそうでしょ」って言っているだけにもならない。僕はその気持もわかるんですよ、でもこのままでもいけないことが分かりますから、その間をとりもつ仕事をしたいです。まさに言葉どおり日中親善大使って本当に、いろいろ説明することもなくぴったり自分のやりたい事そのものですね。今年一年の目標も、これです。それと、そのことを通して日本がもっと良くなってくれることを願っています。中国から学んだこと、この仕事を通して学んできたことが、ゼロの旅に反映することがあると思いますけれども、今年の目標はもうそれ一本です。

 ――関口さんにとって、旅とはなんでしょうか。

 旅とは何かと言われても分からないんですが、ただ旅について印象が変わりました。自分が旅していたんだと思うんですけど、後から気づくと、旅に旅させられていたんだなと感じることが増えてくるんですね。日中親善大使の仕事も、あの旅の流れからすると、そりゃそうだよなあって思うところもあるんですが、それはまるで僕が決めてるんじゃなくて、旅に決められてるみたいな。旅って生き物なんだなと思います。

 (聞き手・構成:劉睿 取材:陳博、王小燕 映像:白昊)

 【プロフィール】

 関口知宏(せきぐち ともひろ)

 1972年7月1日 東京生まれ。立教大学経済学部経営学科卒業。

 1996年大学卒業後、俳優デビュー。

 2004年NHK『列島縦断 鉄道12000キロの旅 〜最長片道切符でゆく42日〜』出演。

 2006年NHK『「関口知宏が行くヨーロッパ鉄道の旅」イギリス編 スペイン編 トルコ・ギリシャ編 スイス編』に出演。

 2007年NHK『「関口知宏の中国鉄道大紀行」~最長片道ルート36,000kmをゆく』に出演。

 2012年日中親善大使に任命される。また、「ZERO~可能性の旅~」という新たな旅を企画中。

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