■日本の繊細な技術を世界へ
――日本の技術産業の強みというのはどのようなものだと考えてますか。
それはなかなか難しいのですけど、まあ日本人の特性として、非常に細かいことをコツコツやるということがありますから、そういうところで抜けなくてですね、きちっとやって行くというのが、少なくとも今までの日本の強みだったと思うんですね。ただ、それがこれからもそうかというのはありますけど、今までの、私も実際のビジネスやっての40年の間のですね、強みはそういうものがあるんじゃないかなと思いますんで、その良さをまして行くというのが重要なんじゃないかなと思います。
――今日本では震災後の復興だとか、後は不景気、円高、少子化など様々な問題がありますが、そのなかでどうやって日本の産業技術の強みを世界に広めていこうと思われていますか。
それはまさにその通りで、日本のマーケットということを考えますと非常に全体的に厳しい状況にあるわけですね。ですからそういう意味で、もっともっと日本もグローバルなマーケットを意識して、いろんなクリエーションをやっていかなければいけないということが本質的なとこだと思っています。例えば、今東京大学で秋入学をやろうということで、また一歩グローバル化に近づくという、これは大学でのそういうことだけじゃなくてね、やっぱり日本全体がそういうグローバライゼーションに対する、その柔軟性っていうのをもっともっと高める必要があると思って、そういう事をすることによって、日本のマーケットだけではなく、世界のマーケットを意識したオペレーションをやっていく必要があると思います。、NEDOもそういう意味で、海外での活動は、日本の将来に対して極めて重要なんだという認識で私どもはやっております。
――グローバル化が進む中で、NEDOを含めた産業開発部門での技術の流出、或いは知的財産の侵害というような問題についてはどのように思われてますでしょうか。
それは確かに非常に難しい問題ではあるのですが、やはり科学技術の進歩のために、知的所有権の確保、確立というのは非常に重要だと思っています。WTO(世界貿易機関)やWIPO(世界知的所有権機関)の世界的な標準やグローバルスタンダードをみんな守るということがまず第一だと思うんですね。2番目は、やはり世界全体の南北格差問題ということを考えたときに先進国が開発途上国をサポートするということは必要だとは思うんですけど最初に申し上げたように、知的使用権の確立確保と言うことが、技術進歩、科学が進歩する上で欠かせない要因にもなっていることも事実だと思います。
■互いの得意分野を力強く発展
――この先中日間での新エネルギー、産業技術開発において、どのような課題と目標を考えていますか。
新エネルギーという視点でいうと、やはりその中国の役割と日本の役割というものをいろいろと明確にし、お互いの得意なところを推し進め、ウィンウィンの関係を築ければと思っています。省エネという視点からいいますと、日本もずいぶん進んできましたんで、そういう技術を中国で展開していただければ、私どももそういった形で推し進めて来たのですけど、もっともっと展開していただくことで、世界全体のエネルギー消費が減るということは、日本にとっても素晴らしいことですし、そういう広い意味でのウィンウィン関係を築くことが重要じゃないかなと思います。
――中国と日本がそれぞれ得意とする分野はなんですか。
日本は今までの科学技術的なところが、まだまだやっていけると思います。中国にとって、経済の発展していく分野が非常に大きいということもある意味での強みだと思うんですよね。だからそういう非常に発展しているところに日本のテクノロジーを入れると同時に、中国の皆様もそれを使って、更に全体的に調和のある経済発展、社会発展というのを進めていくということが両方のウィンウィン、得意分野を力強くやって行くということなんじゃないかなと思います。
――今年は中日国交正常化40周年、中国と日本はどのような付き合いをしていくべきだと思いますか。
私も40年本当に中国の皆さんと付き合ってきて、一番感じるのはやはり中国と日本というのは、地政学的に離れられないんですよね。もう何をあれしても離れられないということですから、やはり各階層レベルで相互理解、相互信頼しあって、やはり中国と日本が、先程サインを頼まれたんで、中日友好と書きましたけれど、そういう形で、日本と中国がやっていくことが、世界全体の平和にもつながりますし、そのまま環境の対策にもつながるんじゃないかなと思いますので、中国と日本の世界全体における役割というのは極めて重要で、地球の将来を考えた場合も極めて重要だという認識で、やっていく必要があるんじゃないかなと思ってます。
(聞き手・構成:劉睿 撮影:白昊)
【プロフィール】
古川一夫(ふるかわかずお)
1946年 東京都生まれ。東京大学大学院(電気)修士課程修了。
1971年 株式会社日立製作所入社。
2006年 日立製作所取締役代表執行役 執行役社長。
2009年 日立製作所取締役代表執行役 執行役副会長、特別顧問。
2011年 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事長に就任。
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